100 自由なサッカーと管理されるサッカー ページ4
「生で見るAちゃん本当可愛い。ね、普段はどう過ごしているの？」
「普段ですか？そうですね、うーん。最近はサッカーしかしてないです」
「そうなの。本当にサッカーが好きなのね」
「はい。それに、今はホーリーロードの真っ最中ですし」
話している間に、縦列駐車が無事完了したようだ。停車すると、聖帝は真面目な顔をして言った。
「君は本当に自由なサッカーが正しいと思っているのか」
一瞬にして静粛が訪れた。この人は一体何を言っているのだろう。
「当たり前です」
そう返答した。すると、彼はこちらに振り向いた。彼の眼差しは強い。カリスマ性、オーラ。そういう類のものを感じる。
「君は知らないようだな。管理サッカーの真の意味を」
彼は語り始めた。
「10年前、イナズマジャパンが世界大会で優勝したことにより、日本ではサッカーは大いに注目を集めた。そして今、サッカーの実力がその学校の価値を決める時代となったのだ。サッカー名門校は生き残り、サッカーの弱い学校は存続できなくなる。そのような格差を正すために作られたのが我が組織・フィフスセクターなのだ」
「どのような背景があろうと、サッカーはサッカーです。パフォーマンスの試合など意味がありません」
「君はそのように考えているだろうが、秩序あるサッカーこそが美しいと考える者もいる。サッカーとは芸術なのだよ」
平行線な会話が続く。サッカーが芸術？よくわからない。
「今のサッカーは秩序がありすぎる状態です。秩序と混沌の適度なバランスは必要なのではないですか」
「ほう」
「競争のない社会はみな無気力になる。個性が否定されている。そんな世界が正しいと本当にお思いですか」
「そうだ。気力や個性よりも優先すべきものがある。格差による不幸というのは想像を絶するものだ。そのような不幸な者を生まないためにも、サッカーの管理は必要だ」
正義の対立。彼の言い分もわかる。しかし、サッカーは本来自由であるべきだと思う。スポーツというのは競争であり、能力の価値を平等に評価する場である。その場を歪に管理することによって、むしろ不平等になってしまう。それではスポーツの本来の意義と反する。私は車から降りた。
「雷門は必ず勝ちます。思い切りサッカーができなくて、苦しんでいる人たちのためにも」
そう伝えると、聖帝はフッと笑った。
「楽しみにしている」
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充滞(プロフ) - ビジュさん» イナイレ小説の作者様にそう言っていただけて嬉しいです！永劫回帰など拝読しております。コメントありがとうございます！ (2月22日 20時) (
レス) id: a229a1ca73 (このIDを非表示/違反報告)
ビジュ(プロフ) - 丁寧な試合シーンの描写に引き込まれました…！作者さんのサッカーの豊富な知識も伝わってきてすぐに虜になりました！お身体に気を付けてご自身のペースで頑張って下さい( ꈍᴗꈍ) (2月22日 18時) (レス) @page23 id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月15日 20時
