126 勉強会 ページ30
私はこの前赤点を取り、固く決心した。今度は学年1位になってやる、と。前回のテストは転校してから間もないという背景があったり、正直傲りもあったので成績が最悪だった。しかし、今の私は違う。ホーリーロードの期間も学校の授業を真面目に受け、家でも復習を欠かさなかった。中身は成人しているのだ、むしろなぜ1番を取れないというのか。
最大のライバルは身近にいる。そう、拓人くんである。彼は前回の学年1位。霧野くんに話を聞くと、拓人くんは学年1位以外を取ったことがないそうだ。拓人くんはなぜもっと偏差値の高い中学に行かなかったのかも併せて聞いたところ、雷門でサッカーをしたかったからだという。結論として、拓人くんはとても賢いのである。おそらく2年生の学年1位と2位の間には相当な隔たりがあるだろうと予測がつく。
「信助、そこはこの公式を使うといい」
近くに立ち、その様子をじっと見つめていると、拓人くんが柔らかい表情で振り向いた。
「Aも質問か？」
「...ううん」
真顔で首を振り、背を向けた。ポテチを食べている狩屋のところへ行き、背後からポテチの一欠片を盗んだ。
「あーっ、センパイ！勝手に俺の取らないでくださいよ！」
「私のお菓子もあげるから許して」
「なんすかこれ。グミ？」
「歯周病を予防するグミらしい」
すると、気づけば拓人くんが目の前に仁王立ちで現れた。
「狩屋！お菓子ばかり食べてないで集中しろ」
「A先輩はいいんですか」
「...ああ」
拓人くんは私が別の世界から来たことを知っている。今回の期末考査でいくら酷い点を取ろうと、私の将来には影響しないことがわかっているから、私には注意しないのだろう。
すると、狩屋はなにかを見つけた様子で出口を指差した。
「今、浜野先輩と錦先輩が出ていきましたよ」
「...!? あっ、こら！浜野！錦！逃げるな！」
拓人くんは教師と化している。忙しそうだ。足は完治していないので、軽く走るくらいしかできないらしく、逃げる浜野先輩や錦くんに追いつくことはできなかった。戻ってきた拓人くんは、少し落ち込んでいるようだった。
「錦は海外から戻ってきたばかりだから、これを機に勉強会をしようと思ったんだが...」
そんな彼に対して霧野くんがすかさずフォローする。
「あいつらは勉強が苦手なだけで、お前の気持ちは伝わっていると思うぞ」
「霧野...。ありがとう」
私は狩屋の隣で黙々と勉強をし、勉強会を過ごした。
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充滞(プロフ) - ビジュさん» イナイレ小説の作者様にそう言っていただけて嬉しいです！永劫回帰など拝読しております。コメントありがとうございます！ (2月22日 20時) (
レス) id: a229a1ca73 (このIDを非表示/違反報告)
ビジュ(プロフ) - 丁寧な試合シーンの描写に引き込まれました…！作者さんのサッカーの豊富な知識も伝わってきてすぐに虜になりました！お身体に気を付けてご自身のペースで頑張って下さい( ꈍᴗꈍ) (2月22日 18時) (レス) @page23 id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月15日 20時
