118 vs 聖堂山 ページ22
まず、試合の流れを観察することに専念した。聖堂山の完璧な守りによって雷門はすぐに阻まれる。あの動き、噂に聞いていた通り完璧なチームだ。これは手強いぞ。雷門のパスが全て封じられている。フィフスセクターのチームとは思えない程フェアなプレー。1点を奪われるも、すぐに奪い返す。雷門ベンチは大盛り上がりだ。実力は拮抗しているけど、一筋縄ではいかないことくらい容易にわかる。
「追い風が吹き出したな！」
「いいぞ、この調子でいけば優勝も夢じゃない！」
「今の時点で同点なのは大きいぞ」
試合が再開した途端、聖堂山は圧倒的な連携でボールをつなぎ、キャプテンの黒裂に渡る。彼は化身を出し、シュート体勢に入った。その動きに既視感を感じた。
「爆熱ストーム！！」
回転しながら昇るあの技。ファイアトルネードや爆熱スクリューのような。そのシュートフォームは魅入る美しさがあった。
「聖堂山、さすがにすごい選手ばかりだな...」
「オフェンス、ディフェンス。ともに死角なしか」
スコアは2-2。同点で試合を折り返した。雷門選手は控室に戻ってハーフタイムを過ごす。後半戦のメンバーも現状維持だと円堂監督から発表された。もしかしたら私は出場しないまま、この決勝戦が終わるかもしれない。出場待機場に出た直後、床が激しく揺れ始めた。
「地震か!?!?」
「違う。スタジアムが変化したんだ」
そう答えたのは腕にキャプテンマークを身につけた選手だった。本来聖堂山中の選手が並ぶはずの位置に並んでいる。不思議に思っていると、突如現れたスタッフは驚きの言葉を言い放った。
「彼らはドラゴンリンクです。聖堂山は監督、選手ともに全てをメンバーチェンジされました。少年サッカー法第5条"いかなる時点でもフィフスセクターはルール変更できる"に基づくメンバーチェンジとなります」
「そんなのアリかよ!?!?」
キャプテンは千宮路大和というらしい。そして、父親と思われる人物が現れた。なんか見たことあるな、あの人。たしかこの前の財閥交流パーティーで千宮路財閥の代表として登場していた。となると、あのキャプテンはその息子のお坊ちゃんか。父親の方は唐突に自分のことを語り始めた。フィフスセクターを設立した背景には、格差問題が大きく影響していた。
「サッカーを学びプロを目指せるのは、環境の者だけ。幼い頃の私にはプレーする権利すら与えられなかった」
そして、試合は始まった。
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充滞(プロフ) - ビジュさん» イナイレ小説の作者様にそう言っていただけて嬉しいです！永劫回帰など拝読しております。コメントありがとうございます！ (2月22日 20時) (
レス) id: a229a1ca73 (このIDを非表示/違反報告)
ビジュ(プロフ) - 丁寧な試合シーンの描写に引き込まれました…！作者さんのサッカーの豊富な知識も伝わってきてすぐに虜になりました！お身体に気を付けてご自身のペースで頑張って下さい( ꈍᴗꈍ) (2月22日 18時) (レス) @page23 id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月15日 20時
