115 決勝戦前日 ページ19
試合まで残すところ3日。時はすぐそこまで迫っている。雷門は最終調整の段階に入っていた。鬼道コーチの分析により、直前期における最適な練習メニューが組まれる。そして、円堂監督の指示をもとに皆が動く。キャプテンの天馬くんは全体を見て、必要な指示を出す。私はその指示に不足していることを見抜き、フォローする。キャプテンが機能し始めたことで、チームの歯車は回り始めた。
リーダーシップとマネジメントは違う。リーダーシップの次にマネジメントがある。リーダーはチームを正しい方向に導く。マネジメントを行う者は有効な手段を探し、チームを管理する。それぞれ役割が違う。今の雷門では、天馬くんがリーダーシップをもち、私がチームをマネジメントしていた。
「あいつらすっかり見違えたな」
「ああ。二人ともしっかりしている。安心して試合に臨めそうだ。だが、まだ付け焼き刃な部分もあるな。そこは俺たちで補おう」
「そうだな」
チームのマネジメントでわからないことが出てくれば、拓人くんや鬼道コーチに意見を求める時もあった。天馬くんは主に円堂監督に質問しに行っているようだ。気づけば試合は明日となった。拓人くんの見舞いに行き、本音を溢した。
「明日で全てが決まるのだと思うと、緊張しすぎてご飯が喉を通らない...」
「そういう時は深呼吸だ」
「ふぅーーーーーー、ハァーーーーー...」
「緊張っていうのは、深呼吸である程度コントロールできるんだ。息を長めに吐けばリラックスしやすい」
「えっ、そうなんだ。やってみる」
息を長めに吐くと、少し気持ちが落ち着いてきた感じがする。それでも、変に神経が昂り続けている。
「はあ、今日寝れるかな。寝れる気がしない」
「今までたくさん頑張ってきただろ。それは俺がよく知ってる」
「たっくん...」
「試合の結果は考えなくてもいいんだ。今までの努力を思い出したら、不思議と自信が湧いてこないか？」
「湧く。だって、今までしぬほど練習してきたもん。勝てない訳がないよ」
「だったら心配しなくていいんじゃないか」
「でも、不安だよ。たっくんいないし」
足元に縋って泣き言を言うと、そっと頭を撫でられた。
「大丈夫。Aならできる。俺にはわかる」
その一言で元気が出てきた。私は突然立ち上がり、宣言した。
「今決めた。試合中、何があっても絶対に諦めない」
必ず勝つ。気合だ！気合だ！気合だーーー！！！
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充滞(プロフ) - ビジュさん» イナイレ小説の作者様にそう言っていただけて嬉しいです！永劫回帰など拝読しております。コメントありがとうございます！ (2月22日 20時) (
レス) id: a229a1ca73 (このIDを非表示/違反報告)
ビジュ(プロフ) - 丁寧な試合シーンの描写に引き込まれました…！作者さんのサッカーの豊富な知識も伝わってきてすぐに虜になりました！お身体に気を付けてご自身のペースで頑張って下さい( ꈍᴗꈍ) (2月22日 18時) (レス) @page23 id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月15日 20時
