108 リーダーの役目 ページ12
副キャプテンとはいえ、あくまで臨時の任命。次の決勝戦に勝てさえすればいいのだ。いつまでも副キャプテンでいる訳ではない。優勝すれば、雷門は革命を達成し、サッカー界に自由が戻る。
しかし、その決勝戦に勝つということは極めてハードルが高い。そもそもフィフスセクターという大きな組織が相手で、雷門を負かそうと全力で潰しにかかってきている状態。機関の存続をかけているのだから当然の行動だ。さらに、対戦相手の聖堂山中は選手全員のレベルが高い。聖帝直々に監督をし、選手は完璧に仕上げられている。欠点がなく、全員がストライカーだという。そんな強者相手に試合をするのだから、対策なしでは決して勝てないだろう。分析が必要になる。セカンドチームを相手にし、雷門中サッカー部は練習を始めた。しかし、天馬くんは一種の思考停止状態に陥っている。
「天馬！指示が遅いぞ！」
「は、はいッ！」
見ているけど、見えていない。霧野くんからも指摘を受けている。霧野くんこそキャプテンに相応しいのではと一瞬思った。それでも、革命の中心である天馬くんだからこそキャプテンであるべきなのだろう。革命を達成するには、天馬くんなしでは為し得ない。
天馬くんの気持ちもわかる。一人に指示を出すのはまだいいとして、チーム全体に指示を出すのはとても難しい。自分の指示が間違っていないか不安だし、皆は思い通りには動かない。
だからこそ、私が在るのだと思う。
「天馬くん、ちょっといいかな」
私は作戦ボードを見せた。ボードの上には選手を示すマグネットが置かれている。
「今は、こういう状況だったの。だから、ボールを取られた」
マグネットを必要最低限のいくつかを動かして、先ほどの状況を説明する。彼は納得した様子だった。
「ああ！そういうことだったんですね」
「人がたくさん動いて、問題が次々に起こると、なにもわからなくなると思う。でも、こうして問題を一つ一つ整理していけば、きっと解決できるようになるよ」
「わかりました。ありがとうございます！」
他にも、スローなサッカーを提案した。選手はゆっくりとしか動くことができない、という制限をかけて試合をする。すると、選手の動きがよく見える。選手が意識を向けている方向が読めて、それに対する指示が出せる。ペースを徐々に速め、天馬くんは周りを見て指示が出せるようになった。成功体験の積み重ねが一番の近道だ。
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充滞(プロフ) - ビジュさん» イナイレ小説の作者様にそう言っていただけて嬉しいです！永劫回帰など拝読しております。コメントありがとうございます！ (2月22日 20時) (
レス) id: a229a1ca73 (このIDを非表示/違反報告)
ビジュ(プロフ) - 丁寧な試合シーンの描写に引き込まれました…！作者さんのサッカーの豊富な知識も伝わってきてすぐに虜になりました！お身体に気を付けてご自身のペースで頑張って下さい( ꈍᴗꈍ) (2月22日 18時) (レス) @page23 id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月15日 20時
