通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

違和感 -Yoongi- ページ10

Aが近づいて来る。

ただそれだけなのに。

まだAの中に俺はいるのかもしれない。
まだ俺を想ってくれてるのかもしれない。

寝ているA。
あの部屋でのことを思い出し、
ガチガチに緊張し出した。

今、手元にはない
俺が持ち出したあの高麗人参エキス。

こんな所で
絶対にそれはありえないとわかりつつ、
持ち出したことを問われたらどうしようか…とか、
そんなことまで思う始末。

とにかく。

ずっと近くにいなかったAが、
寝てて意識がなかったあの時は別として、
酷いことをしたあの時以来といってもいいほど…

近くに…
俺の元に近づいてくることに緊張して…


外見だけが好きなわけじゃない。

けど、
後ろで一つにまとめた髪、その揺れる毛先。
クリアに光る短い爪、服のシワ。
後ろにいる女を気にし、振り向く横顔とか…

見てるだけ…

見てるだけで、
好きが溢れた。

やっぱり好きなんだと。
どうしたって好きなんだ…と。


ここが控え室だとか。
周りに多くの人がいるとか。

一瞬、
そんなこと、全部忘れて…

近づいて来るAに、
ごめん…って…

その言葉。
今なら言えなそうな気がするのに…




「ユンギさん…あの…彼女がユンギさんとお話されたいみたいで…私、通訳しますね」

そばに来るなりそう話したA。

そのAの後ろに立つ女を見て、
現実に戻った……んだけど…


なんか…違和感。


プレゼントがあると言われ、
それを受け取った。

SAINT LAURENTのシャツで、
よかったら着てくれと言われた。

DNAで好きになり、
去年ソウルコンにも行ったと言われた。

すごく好きで、
毎日歌を聴いてると言われた。

韓国が好きで、
月一で行くと言われた。


そして…


手紙の中に、
インスタやカカオトークのIDを書いたから、
連絡してほしいと言われた。

女がAに耳打ちし、
それを小声で、周りに聞こえないよう…
『A』が俺に言ってきた。

Aは訳しただけ。
そんなのわかってる。

でも、好きな女に他の女のことを言われ、
なんて言うか…良い気分はしねぇし、
複雑な気持ちになった。


でもそんなのもちろん断って、
そんなのはどうでもいいんだって。


女が挨拶し、去り際にまた、
それでももし、もしも気が向いたら連絡欲しい…と
また Aに言い、
Aがまた俺に言ってきたけど…


申し訳ないけど…と、
イラつきを抑えながら断って、
そんなんもどうでもいいんだけど…


お前…
なんで俺の顔 見ねぇの…？

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