通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

情けない -Yoongi- ページ4

ラグの上に小さな音を立て落ちた
高麗人参エキス。

急いで拾い…

なんでポケットに入れたんだろう…


ソユンヌナに挨拶をし、
急いで作業室に向かった。

何この気持ち。

バレないようダッシュで逃げる…みたいな。

悪いことをしてる気分。

いや、実際そうなんだけど。
勝手に持ち逃げしてんだし。


作業室にあるデスク。
鍵が掛かる引き出し。

そこに入れ…

引き出しを閉じずに
高麗人参エキスを見つめた。



まだ…俺を想ってくれてる？

まだ…Aの中に俺はいる？

…というか、

もしかして…

いろいろ…あんな酷いことをしたのに、
Aの中に俺はずっといた？


アルバム作業をするつもりで来たくせに、
頭の中は全てAのことでいっぱいで。

作業なんかできるわけない。

きっと今、
事務室に行けばAはいるはず。

電話やメール。
それなら今すぐにでもできる。


何度も行こうと思って、
身体が行きかけるんだけど足が動かない。

何度もしようと思って、
スマホを手に取るんだけど指が動かない。


怖いから…

マジで情けねぇ…



今、俺が勝手に一人で思ってること。

また俺の勝手な思い込みだったらどうしようか…

都合の良いように考えて、
実際違うかったらどうしようか…


あの時は、
もう全部どうでもよくなって、
何も考えずあんな暴言を吐いたけど…


シラフだからなのか、
Aの想い…
のようなものを少しだけ知れたからなのか…

悪いことをしたのは俺。
なのに…

その謝罪さえ、
怖くてできないなんて…


散々Aを好きなように
好きなだけ傷つけといて、
自分は少しでも傷つくのが怖いから
動けないなんて…

卑怯すぎる。




名古屋ドーム。

通訳として、
もちろんAも同行。

でも…

避けてるんだろう…
俺の視界にほとんどいないA。

最初はたまたまかと思ったけど、
違う。

俺が酷い言葉を言ったからだ…
絶対に。

スタイリストヌナ達の手伝いがなくなったからか、
控え室にAの姿がいないことが大きく感じる。

元々、
必要以上に俺らに話しかけもしなければ、
控え室にもそんなにいなかった。

それが今は、その時以上で。

顔を見せたと思っても、
用件が終わればすぐに部屋から出て行って…

ジミンやジョングクとさえ、
今までしてたような世間話さえする様子はなく。


控え室から出て行く
その後ろ姿を目で追うことしかできない俺は…

本当に情けない。

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