通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

妬く -Yoongi- ページ29

「え…」

「なかなか会えないから渡せてないんだろ？もう渡せた？」

「え…まだ…です」

「いつ渡すの？そんな忙しいやつなの？」

「違っ…あれは、……って、ユンギさん！話が……なんか…ズレてます！」


限界。
我慢してた笑い。
小さく鼻で笑うと、
焦って必死になってるAの髪に触れ…
滑るような髪を撫でた。



タクシーの中で、
ジョングクから聞いたアイスの名前。

あいつがワザと、
『ヒョンは知らないだろうけど、僕はヌナの好きな物知ってる』風の口調で話してきたから、まんまとそれに妬かさせて…

しかも、適当に買ったのど飴なのかと思ったら、
のど飴にもまた俺の知らないやりとりがあったとは…

たかがアイスと飴。
なのに、ガキのように妬く俺。


かと思ったら。


何それ。

モデル、モデル…
さっきから。

なんであのモデルをそんなに気にしてんのか、
全くわかんねぇけど。

Aとモデル。
二人で話してた時、
何話したか知らねぇけど。



わかってんの？
わかって言ってんの？



俺はお前のことが好きだから、
俺が知らないお前のことをジョングクが知ってて、
だから妬いたんだけど。

私だって…って。
同じように言い返してきたけど、
それって…

妬いてくれた……って風に取ってもいいわけ？



ネット見りゃ誰でもわかることと、
ネット見てもわからないお前の好きな物。

全然違うのに。

頭いいくせして
気づいてなさそうな顔してるし。

可愛すぎてしんどい。

なら…と、
口にした質問。

俺が欲しい物…
それがわかり、
なんで知ってるのか？とか、
誰に聞いたのか？とか、
どう聞いたのか？とか、
顔に疑問を浮かべながら焦るA。


別に俺宛じゃなくてもいいんだよ。

忙しくてなかなか会えない『女友達』なら
それでいい。

けど。

男なら話は別。



必死になって、
この話をやめさせようとするA。

「わかった。SHOOKYみたいなクッキー持ってる、あのクッキーモンスターのナノブロックの話はもうやめる」

「っ…！」

泣きそうな顔して言葉を途中で飲み込むA。
可愛すぎ。


それなら。


「なら別の質問。俺の好きな女は誰でしょう？」


言い終わるや否や真顔になった顔。
目にみるみる溜まる涙。

ホソクはやっぱりよく泣くな…って、
先月あった授賞式で再確認したけど、
俺の人生でお前以上によく泣く人間にはもう出会わねぇと思う。

赤い目。
涙一粒。
いくら泣いても。
何度泣いても。

お前なら…
全てが愛おしい。

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