検索窓
今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:11,609 hit

肆玖 葛藤 ページ2

「そうだ…ありがとうございますね。タオルとこれ。…もしかして私のじゃなかったですか!?」


なんでこいつが…
これ、と見せてきたのはあげるはずだったネックレス。誰から渡されたと聞けば、旦那から落し物と渡されたらしい。


「そうだよお前にだよ。悪ィな血、付いてただろ?」


大袈裟なくらいに頭を振り、逆に気を使わせたみたいでと言う。
素直じゃないよなほんと。プレゼントだって言いたいのに上手く伝えられねェ。
まだ書きかけだったメッセージカードには誕生日おめでとう。そう書くのが妥当なところだったのだろう。それももう無理な話だが。


「本当にもらってもいいんですか。罠じゃないですよね?まさか、爆発したり…」

「んなわけあるかよ。お前弱そうだからそんなことしねェよ。それはただの“餞別”だ」



意気地ねェよな。
よりによって勢いで出た言葉が餞別だなんて。
しかも、顔を合わせることも出来ず明後日の方向を向いて。
会話の途切れた部屋。
何かつっこまれるかと思ったがそれは違った。
あいつの方を見ると、目が合った。そして驚いた。
泣きながら笑うから。本当に嬉しそうに、幸せそうに。……悲しそうに。



「…ありがとう。すごく嬉しい」









「君は、春村Aさんかな?」

「…えっ?はいそうです」

「突然すみません。私は、こういう者です」


帰り道いきなり声をかけられた。
身長の高い、まだ若い男性。
名刺を差し出され一礼しながら受け取る。

…これは…

話しかけてきた理由なんて、それ一枚で何となく分かった。心のない乾いた笑みを向けられる。


「立ち話じゃ何だから、ついて来てもらえますか」









「話は理解して頂けましたか?」


まるで、初めから想定していたかのように貸し切り状態のカフェ。そこで持ち寄られた話。


「はい。つまり、私をお金で釣りたいと」

「あはは。そう捉えられてしまいましたか。あなたには身寄りがないと聞きました。いい話でしょ?」


震える手を握りしめて私はまた、嘘を並べる。
表情を保つので精一杯。
分からないの。
神威さんもだけど何故私の力が必要なの?
それとも…必要なのはこの世界と関係のない存在だけで、この世界での権利(ちから)のない私を利用したいだけ?



「それと君と沖田くんはどんな関係なんですか?」

「……え…別に何も…」

「君達は、近づけば近づく程に壊れていくだろう」



本来出会うはずなかった人達の運命を狂わせているのは………私。

伍拾 お帰りとただいま→←肆捌 瞳送り



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
46人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 真選組 , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:千の歌を歌う人 | 作成日時:2019年9月8日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。