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肆陸 ありがとう ページ47

「ふーん。道ねぇ」

「それで私から万事屋さんへの多分、最初で最後のお願いがあります」



「総悟さんを守ってください」


また、命を狙われる可能性は充分にある。
だから…


「…お前ら似てるからすれ違うんだな」

「…え?」

「ちゃんと言わねぇと人なんてすぐに離れて行っちまうもんだ。嬢ちゃんはちゃんと言うんだぞ」


頭にポンと置かれた手は暖かい。
そして じゃあな と片手を挙げて去っていく。
でも、すぐに そうだ と呟きながら戻ってくる。


「総一郎くんの落し物みたいなんだけどこれ」


ラッピングされた紙袋には少し血が滲んでいる。
ポケットにでも入れていたのだろうか。誰かへのプレゼントだろうか。
それだけ渡すと銀ちゃんは帰った。






「あれ…中に紙が入ってる?」



薄っすらと見えた字。
それは、私の名前だった。
どうしてという疑問が頭をいっぱいにする。
悪いなとは思いつつも、気になってしょうがなくて開けさせてもらった。



……あ…



中身を見た。目頭がじんと熱くなるのが分かる。
入っていたのは彼の瞳の色によく似た、透き通った紅い石のついたネックレス。
そして、血の染みた私のタオル。それは、出会ったばかりの雨の日のタオル。
そういえば、すっかり忘れてた。


……たった一言だけ書かれた紙。
始めはいかにも彼らしいと思った。
でも、その内容に涙が溢れて止まらなかった。


ありがとう。


そう書かれていた。
堪えても、堪えても、溢れてくる涙が自身の心をも濡らす。彼の字さえも苦しくなる程に愛しい。
有り触れた言葉だけど、初めてもらった気がする。
たった5文字なのに、すごく嬉しいんだ。



「ありがとう。ありがとう…」



ガラス越しに聞こえるわけなんてないけど、だけど言いたかった。心からのありがとうを。
あなたへ、きっと届くように。

ネックレスをぎゅっと握り、そう願った。




「必ず、守ってみせるよ」




生きてほしいから。
笑ってほしいから。
好きだから。





…幸せになって。









ーーー作者よりーーー


場所が取れたので日頃のお礼をさせてください!
評価やお気に入り登録本当にありがとうございます!!嬉しすぎて大変です…
学校が始まったので、更新が遅れてしまうかもしれませんが読んでくれると嬉しいです!
これからもよろしくお願いします。
話数が余るので作者の休憩室という名の番外編を書かせていただきますね!

番外篇 甘えたい→←肆伍 長い物語



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設定タグ:銀魂 , 真選組 , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
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千の歌を歌う人(プロフ) - コロさん» 有難きお言葉です!!すごく嬉しいです!頑張ります!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
コロ - おもしろいです!!更新忙しいかもしれないけど頑張って下さいね!! (2019年7月29日 22時) (レス) id: 21d6130453 (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - サラダ油さん» ぱっちゃんはですね、主人公が付けたあだ名です!主人公は色んなあだ名を人に付けるもので…見てくれて、物凄く嬉しい限りです!!頑張ります! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - 新八は「ぱっちゃん」じゃなくて「ぱっつぁん」と呼ばれてますよ。面白いのでこれからも頑張って下さい! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 3eb4c4dfa2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くれの | 作成日時:2019年7月24日 22時

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