黒死牟の大親友 -弐-【鬼滅の刃】 (ページ7)

今日:7 hit、昨日:11 hit、合計:12,312 hit

卑怯ページ7

千花「えっ？えっ、どういうこと？」

混乱する千花。

無理もない。本人の同意もなく勝手に鬼になってしまったのだ。

A『どこまで覚えてる？』

千花「えっと・・・」

記憶を探るように、千花の目が宙を彷徨う。

そして、その目がかっと見開かれた。

千花「そうだ・・・鬼！誰かが入ってきたと思ったら鬼で、私を・・・」

両手で自分を抱くようにして千花が怯えたように言う。

A『そう。私がそっちに行ったとき、千花は死にかけてた。童磨さんが来て、あんたを鬼にすることで生きながらえさせてくれたんだよ』

千花「・・・」

千花は黙り込んで、自分の手をじっと見つめていた。

千花「・・・童磨さんっていうのは？」

次の口を開いたとき、千花の声は低かった。

A『位が高い鬼。目が六つある鬼は覚えてる？あの人の一つ下なんだ』

千花「・・・姉ちゃんは、私を鬼にしようとしなかったの？」

A『気が動転して、そこまで考えられなかった。それに、人を鬼にできるのは「あの方」と位の高い鬼たちだけだから』

千花「・・・そう」

ふと気がつく。

千花は、鬼になったことを知ってから一度も私のことを見ていない。

A『本当にごめん。千花が死んだら、私は生きていける気がしなかった・・・なんて言い訳だよね。千花の意思確認せずに鬼にさせて、ごめん』

千花「・・・私が死んだら、姉ちゃんも死のうとしてたの？」

A『・・・うん。でもそのことは気にしないで、悪いのは私なんだから』

千花は優しい。

だから、私が死のうとしていたなどと知れば鬼にしたことを許してくれる確率がぐっと高まる。

それをわかった上で言うなんて、私は卑怯だ。

千花「気にするよ」

A『しないでよ！・・・私は千花の本心が聞きたいの。”本当は鬼になんてなりたくなかった、でも姉ちゃんには生きてほしいから許す”なんて、そんなの嬉しくない』

本心だった。

同時に、どうして私が死のうとしていたことを打ち明けてしまったのだろうと、後悔もしていた。

千花が気にしないわけがないではないか。

自分が惨めに思えてくる。

本当に、これでよかったのだろうか？