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掌の上 ページ25

A『やめっ・・・』


背筋が凍る。


私は必死に千花の方へ手を伸ばした。


しかし、その手が絶対に二人に届かないことを、私は知っていた。


怖いのに、千花が死ぬのを見るのが怖いのに、目を逸らせない。


今すぐ助けに行きたいけれど、もう間に合わないことは誰の目から見ても明らかだった。


それでも、私は必死に手を伸ばす。必死に走る。


千花、と叫んだ。






突如として、鬼狩りの身体の軸がぶれた。


彼が振った刀は空振りし、鬼狩りは自分の足を気にしている。


・・・何が起こった?


不思議に思いながらも、私は今が好機と千花の側に戻った。


そして、鬼狩りの足元を見て全てを理解した。


彼の足元には千花の血。彼はその血を踏んだのだろう。


今の今まで気づかなかったが、胸が悪くなるほど甘ったるい匂いが周囲を漂っている。


私は大丈夫だが、鬼狩りは顔をしかめていた。


匂いは、彼の足元の血から漂うものだった。


いや、それだけではない。周囲の全ての血がその匂いを発している。


【血鬼術 石持】


鬼狩りの足は、変異して粘液を出す血痕によって拘束されていた。


千花が今の今まで怪我を治そうとしなかったのは、この血鬼術を発動させるためだったのだ。


彼を血に触れさせるため、多量の血痕を残しておく必要があったのだろう。


だから、体力が削れるのを分かった上で傷を治さず走り回っていた。


本当に、千花は頭が切れる。


足が動かなくなっても、鬼狩りはまだ刀を構える。


圧倒的不利な立場であるのに戦おうとする姿勢やその心意気は称賛に値するだろう。


しかし、彼にもう勝ち目はない。この場所から動くことはできないのだから。


地面を深く踏み込んで、鬼狩りとの距離を詰める。


鬼狩りは後ろへ飛び退ることができず、身体を後ろに引いた。そしてそのまま体制を崩す。


【血鬼術 裂き鋏】


手を鋭い刃物に変形させ、横にまっすぐ振った。


体制が崩れては、うまく避けることは至難の業。


鬼狩りの頸動脈から血が吹き出た。


そしてそのまま息絶える。千花の血鬼術の匂いと、鬼狩りの血の匂いが辺りに充満していた。


A『・・・千花の掌の上だったんだ』


鬼狩りが息絶えたことを確認してから、私は千花に言う。


千花「まあね。あれくらいしないと勝てないと思ったから。心配かけてごめん」


千花の欠損していた身体は、完全に回復していた。

合図→←怪我の治癒



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緋月 - たまきさん» うまかった!(^^) (2023年2月21日 13時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» あねwwならよかった (2023年2月21日 12時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» まぁ、2つ食べれたからよかったんだけどねw (2023年2月21日 8時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» 忘れるな!?当日に忘れるな!!w (2023年2月21日 7時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» ありがとう!🐜ケーキは今朝食べた。昨日は忘れてたらしい (2023年2月20日 15時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまき | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月31日 18時

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