__弐__ ページ9
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私は鬼殺隊ではないので鬼のことをよく知らない。
話は通じるのだろうか、全てがわからない。
正直自分も震える程怖かった。
それでもあの子供を見逃すことはできない。
そう思った時には手の荷物を置いて
子供の方へと走り出していた。
鬼はゆっくりと走る自分に視線をやったが
見るだけで何もしない。
それならば子供を抱きかかえさっさと逃げよう。
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必死に走ってさっきの場所より
少し離れた路地裏に到着した。
『はぁ…はぁ……大丈夫?』
「ぅん…」
まだ泣き止んでおらず声も震えていた
『大丈夫、ちゃんと家に帰れるからね』
「怖い…っ、」
『よしよし、大丈夫だよ』
安心させたくて抱きしめながら頭を撫でた。
すると子供は「ぁ…」と絶望した声を出した。
『どうしたの?』
「う、うしろ…や、だ…」
後ろを見るとさっきの鬼だった。
嘘でしょ…?自分達着いたばかりなのに。
子供を守るように抱き締めた。
というか、出来ることがこれしか無かった。
誰かのためになるなら
この子がこの先幸せな未来を送れるなら
自分はこのまま死んでもいい。
誰かのためになるなら、それでいい。
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作者名:ちょこぺろ。 | 作成日時:2021年10月16日 14時