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喫茶店花鶏。
オーナーが旅行中で、現在営業していないこの店だが、私は定期的にここに足を運んでいる。
「お姉ちゃん！」
『ふふ、来ちゃった』
「何か飲む？」
『うん。ありがと、優衣』
理由は、可愛い妹、優衣がいるから。
優衣も両親の再婚によって出来た義理の妹で、歳はふたつ違い。ショートカットの似合う、明るく可愛い女の子である。
彼女もミラーワールドを知る人間だが、ライダーではない。かといって私のような終着点ではない、特殊な子だ。
ミラーワールドなんて非科学的なモノを前にしては、特殊もなにもないけれど。
「はい、どうぞ」
『ありがとう』
差し出された、いい香りの紅茶。
ふと視線をずらせば、飾られた写真立てが目に入る。
いつ頃の写真だっただろうか。兄さんと、優衣と、私とが並んで笑っている写真。何故だか来る度に目に入ってしまう。
ここに写真が置いてあるのは、この喫茶店が優衣の叔母の家で、優衣も住んでいるからだ。だから、優衣に会いたい時は大体ここに来る。
「今日は何か用事があったの？」
『いや？可愛い妹に会いたかったからね』
「なにそれ、お姉ちゃんってば」
『ふふふ』
頬杖をついて優衣と話していれば、後ろで扉が開く音がする。
「キザなことを言うな、お前は」
「蓮！」
『失礼だな、本心だってのに』
入ってきたのは、頭からつま先まで真っ黒な出で立ちの、背の高い男。…これだけの文では不審者のように見えてしまうかもしれないが、決してそういうワケではない。
彼は秋山蓮。仮面ライダーナイトとしてライダーバトルに参加している、ミラーワールドを知る人間だ。
『今日も黒づくしだね』
「そういうお前は今日もおめでたいな」
『なんか馬鹿にされてるみたいで嫌だわ。鶴みたいで美しいな、くらいは言いなよ』
「思ったことしか口にできないタチでな」
『うそつけ』
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
