鶴は幸せを運ぶのか Ⅰ (ページ31)

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「お口に会いましたか？」
『それは勿論。美味しかったです』

須藤サンに連れられてやって来た店で出された食事は、それはそれは美味しかった。
今まで入らなかったのが勿体ない。この通りは何度も来たことがあったのに。

「送ります。どちらまで？一昨日と同じく家か、会社か…」
『ああ、実は病院にバイクが置きっぱなしで…病院までお願いしてもいいですか？』
「分かりました」

店を出て、須藤サンと車まで歩く。
まだ取材まで時間はあるし、次は何をしようかしらと考えを巡らせた、その時。

ーキィィン…

「『…！』」

モンスターの音がした。

…しかし、それよりも驚いたことがある。

『須藤、サン…』

今、須藤サンが、音に反応しなかったか？

「…驚きましたね」
『……』

一方須藤サンも、私の方を見て目を見開いている。
間違いない。須藤サンは、ライダーだ。

ーキィィン…

話している間も、音は止まらない。

「…話は後でにしましょう」

彼は周りを確認してから、デッキを取り出した。そして、車の窓にソレを突きつける。

「変身！」

鏡像が集まって、須藤サンの姿が変わる。

橙色の装甲を身に纏った彼は、そのままミラーワールドへと向かっていった。

橙色の、蟹を彷彿とさせるライダー。仮面ライダーシザースだ。存在だけは知っていたけれど、真逆こんな身近にいたなんて。…須藤サンだったなんて。

彼もライダーなら…真司や蓮と、いずれ殺し合う。

…嗚呼、何で、