鶴は幸せを運ぶのか Ⅰ (ページ18)

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OREジャーナルにて。
私は、昨日の真司の話で少しの罪悪感が湧いたので、弁償代を少し肩代わりしてやろうかなと給料の見直しをしていた。

「ただいま」
『…！令子さん！おかえりなさい。……浮かない顔ですね』
「……そうね、あまり収穫はなかったわ」
『そうですか。…チョコ食べます？』
「…貰うわ、ありがとう」

そこに令子さんが帰ってくる。彼女はそう言って、私が差し出したチョコレートを口に含んだ。
編集長も椅子に座ったまま令子さんを励まして、その後｢俺も｣と私にチョコレートを強請る。仕方ないなと編集長の手にチョコレートを転がして、島田サンにもチョコレートを渡しに行く。一人だけ渡さないというのもアレなので。

すると、大きな音を立ててドアが開いた。
そこに居たのは真司。

「お前なんだよその荷物…！」

彼は大量の荷物を持って来ていた。
リュックを前後に背負い、両手に部活の合宿で使うようなバッグを抱えている。

「いやー、ついにアパート追い出されちゃって…。あの、すいませんけど、家見つかるまでここで…」

どうやらアパートを追い出されたらしい。確かにずっと家賃溜まってるって言ってたな。
…それなのに請求書送られてくるし、蓮に借金するし…。追い出されるのも納得だ。

まあ、仕事場で真司が寝泊まりしたところで私に大した不都合はないし、なんなら遅刻が無くなるしでいい気がするけど。

「城戸くん！」

それを許さないのが令子サンである。