鶴は幸せを運ぶのか Ⅰ (ページ17)

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「そんな悪い方にばっか考えんなって。お兄さんにも事情があるかもしれないし、カードデッキ作ったのも、モンスターからみんなを守るためかもしれないだろ？」
『…真司、』
「多分そうだって！」
「…そんな証拠、無いでしょ？」

真司が私の背中をポンと叩いて、私達を宥めるようにそう言った。

優衣は振り返って、真司へ問いかける。
その問い掛けには明らかな疑念が篭っていたが、どこか、真司の答えに期待を寄せているようにも聞こえた。

「じゃあ俺が証拠になる」

真司が一歩進み出て、言う。
それは確かに、優衣の期待に応えるものだった。

「少なくとも俺は、モンスターと戦うために変身する。誰かを守るためだけに変身するから」

そう言ってから、振り返って私を見た。これならどうよ、と言わんばかりのドヤ顔で。

『……真司、お前、』

ーキィィン

「「『！』」」

突如、響いた音。
モンスターが現れたのだ。

真司は反射のようにヘルメットを掴み、そして花鶏を出ていった。本当に、モンスターと戦うために変身するらしい。
暫くしたらバイクのエンジンが聞こえてきて、それが遠ざかる。

「…凄い人だね、あの人」
『…うん。凄いんだよ、真司は。バカなくせにさ…』

真司はきっと、今言ったことを守り通す。
何があっても人々を守るために変身し、ライダー同士の戦いが起こっても…きっと止めようとする。彼は優しいから。

でも、真司。
その優しさが仇になる気がして。

私は少し、心配だよ。