12 ページ14
愛用のVTXを止め、ヒールを鳴らして歩く。
兄さんの名前を見た次の日、私は花鶏へやってきていた。連絡がつかなくなってから私生活が忙しいんだのと理由をつけて安心していたが、ああもしっかり行方不明者として扱われているのであれば調べない訳にもいかないだろう。ひとまず優衣に聞いてみようと思ったのだ。
ちなみに昨日は仕事が忙しく遅くなってしまったので、迷った挙句今日に回した。
『優衣』
「…！お姉ちゃん！」
『仕事早く終わったからさ、来ちゃった…って、』
「…Aちゃん…？」
『…真司…？』
「…お姉ちゃんたち、知り合いなの？」
いつも通り愛しい妹の名前を呼びながら扉を潜ると、そこにいた真司。
花鶏は今営業していないから、客として訪れたワケではないのだろう。
…つまり。
『え、何？もしかして付き合ってんの？いつから？出会いは？聞いてないってか聞いてたとしてもお姉ちゃん許しませんけど？』
「ちょっ、違う違う！そういう関係じゃないって！」
『は？なんでそんな必死に否定するんだよ真司…優衣じゃ不満ってか？こんなに可愛いのに？贅沢言うなぶちのめすぞ』
「そういう事じゃなくて！というかAちゃん、言ってること無茶苦茶だぞ！？」
「もう、お姉ちゃん！」
真司に詰めよって捲し立てれば、優衣に引っ張られ椅子に座らされた。落ち着いて、と出された紅茶を飲む。飲んでから呼吸を整える。…危ない、大分焦ってしまった。
いくらか落ち着いたので、真司に冗談だと告げると、嘘つけと返された。普段バカなのに変に勘がいいな。
『で？付き合ってないのは分かったけど、真司がここにいる理由は？』
「…真司君ね、ライダーなの」
『＿＿は？』
「なったのは最近で…この前に話した契約してない新しいライダーが、真司君で。昨日、本当にライダーになって…」
『…嗚呼、』
確かに昨日、ライダーが増えた音がした。アレは真司のものだったのか。
そう考えれば、今までの真司の不審な行動も説明がつく。
連絡もせずにどこかへ行っていたこと、起動前のパソコンに怯えていたこと、令子さんを止めたこと。
逆に何故気付かなかったのだと思うくらい。
……そうか。…真司が、仮面ライダー龍騎か。
蓮だけじゃなく、真司までもが。
面識のある人間が、二人もライダーになってしまった。私は、平等を貫けるだろうか。
…いや、貫かないといけない。兄さんとの約束なのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
