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あなたサイド
____好きな人と行く花火大会はこんなに緊張するものなのか。
綺麗におめかしされて行く鏡の中の自分は、強ばった顔をしていた。
としくんのメンバーカラーの緑。
カンザシも緑色で揃えてもらった。
としくんらしいななんて思いながら着付けされていく。
「よし、できましたよ」なんて声と同時に顔をあげれば、見違えるような自分が目に入る。
「ありがとうございます」
着付けをしてくれたスタッフさんにお礼を言って、としくんの元へ急いだ。
____見慣れたような、見慣れていないような、浴衣姿のとしくんの後ろ姿。
「ごめんね、お待たせ」
私が言うと、ちょっとビックリしたのか慌てて振り向いた。
同じ深緑の浴衣姿、としくんの筋肉質な体によく映えている気がして、ドキドキと胸はうるさい。
しばらく見つめられるものだから、
「似合うかな笑」
と聞いてしまった。
聞いてみても、尚しばらくまじまじと見つめられて、更に緊張してしまう。
「あの」
としみつ「似合ってる」
我慢出来なくてまた口を開くと、遮られた。
私を見つめて近づいてくるとしくんから、目と体が離れられなかった。
気づいたら、としくんの手が私の頬に触れてた。
私の顔が包み込まれるように大きいとしくんの手の体温は、頬から感じる限り、心做しか高かった気がする。
____としみつ「綺麗…じゃん」
だめ、かっこいい。
唐突にこんなこと言われたら、心臓がもたない。
このまま抱きしめて欲しいとまで思った。
このまま抱きしめてずっと離さないで欲しいとまで思った。
ずっとこうされてたいと思った。
「…ありがとう」
としみつ「ん」
私の緊張で震えた声に、いつも通り恥ずかしそうに短く返事をしたとしくん。
私の歩幅に合わせて歩いてくれるとしくん。
時々暑そうにうちわで仰ぐとしくん。
全てを目に焼き付けた。
次はいつ会えるかわからないから。
ぶらぶらと屋台が並ぶところまで歩いてきた。
無言だったけど、相変わらずそれすらも心地よかった。
としみつ「うわ、人多」
「すごいね」
めちゃくちゃな人混み。
思わず2人とも声が漏れた。
としみつ「ん」
「え?」
しばらく2人で入口に立ち尽くしてると、としくんに手を握られた。
また、ドクッと心臓が驚いた。
としみつ「はぐれないように」
一言そう言い残して、ちょっと乱暴に私を引っ張るとしくんの後ろ姿に、またドキドキした。
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なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時