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としみつサイド
____「ちょっと、なに、ぼーっとしてるの
また水浸かっちゃうよ笑」
飛んでくる水しぶきに目を細めて、「ごめん」と小さくいう俺、ダサい。
至近距離で見たAの綺麗な顔立ちに見とれてたなんて、死んでも言えない。
裾をまくろうと思って、後ろから近づくと、Aさんの小ささに少し驚いた。
こんなに細かったっけ?
裾をまくる時も、こんなに色白かったっけ、こんなに細かったっけ、と思うほど。
華奢な体つきにさえ、ドキドキしてしまう俺って本当に末期。
____Aさんの助手席に乗せてやってきた浴衣屋。
浴衣を着たのは去年友達と夏祭りに行ったぶりらしい。
彼氏の名前が出てこなかったことに一安心する俺。
これまたダサい。
「どの浴衣がいいかな」
楽しそうなAさん。
「としくんはどれがいい?」
としみつ「んー、どれでも」
「テキトー笑」
どれでも似合うって意味なんだけど、伝わってないみたいで少しショックだった。
楽しそうに見て回るAさんを横目に、俺も浴衣を選ぶ。
メンバーカラーが緑だったことから、何となく緑のものを手にするようになっていた俺は、案の定浴衣も緑を選んだ。
渋い緑に白いトンボの模様が好きだった。
としみつ「俺決めた」
「緑か、可愛いね」
としみつ「俺のメンバーカラー」
「そうなの?じゃあ私も緑にする」
なんだ今の。
私も緑にするって、可愛すぎんか。
なんでこう愛らしいかなこの人は。
「こんなのどうかな」
ちょっと待ってると、ウキウキなAさんの持ってきた浴衣は、白と緑の市松模様の浴衣。
裾に咲いてる水色の朝顔がAさんに似ている気がした。
としみつ「いいんじゃん」
絶対似合うと思う。
結局そこまでは言い出せなかった。
俺の方が早く着付けてもらって、外で椅子に座ってAさんを待つ。
メイクも髪型もしてもらうって言ってたっけ。
早くこねーかな。
絶対可愛いし。
欲を言えば誰にも見せたくない。
そんなことを思ってるって知ったら引かれるか。
ソワソワしながら、ちょっと立ってウロウロしてみたりしたけど、全然気は落ち着かなくて。
「ごめんね、お待たせ」
Aさんのその声が聞こえた時には、ビクンっと震えるくらい俺の方が緊張してた。
慌てて振り返ると、
「似合うかな笑」
そう言って、優しく微笑むAさん。
普段見ない、髪型もメイクも浴衣姿も、
全部が眩しかった。
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なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時