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あなたサイド
ああ、馬鹿だ。
としくんに「そこで寝たら風邪引くだろ」って注意されたと同時に眠っちゃった。
馬鹿だ。
クーラーがよく効いてるこの部屋で、寝たら風邪引くに決まってる。
____そう思ってたけど、なんだか暖かかった。
すぐにこの暖かさはとしくんのおかげだとわかった。
りょうくんはお風呂だし、ここに居たのはとしくんだけ。
ソファにもたれかかるように、私に背中を向けて座るとしくんの背中。
私の鼻から数センチの距離。
少しだけ感じる体温と優しさにドキドキが隠せない。
としみつ「あ、起きた」
その背中ぼーっと見つめてたら、振り返った。
ドキッとしながらも、頷く。
「ごめん、寝ちゃった」
としみつ「寝るだろうなと思ってた」
としくんはそう言って、少し笑った。
その笑顔。その笑顔が好き。
こんな近い距離で見たら、もうたまらなくて。
としみつ「えっ、なんで笑う?」
「なんでもない笑」
ちょっと笑ってしまったなんて、死んでも言えない。
としみつ「あのさ」
ちょっと控えめに私を見つめたとしくん。
としみつ「明日、りょう居ないんだよね」
「えっ」
としみつ「だから、俺と2人」
何を言うのかと思ったら。
嬉しさのあまり、ときめく胸を慌てて隠した。
りょうくんごめんなさい。
りょうくんが居ないことに不覚にもラッキーと思っちゃった。
としみつ「どっか行きたい所ある?」
「どこか連れていってくれるの?」
としみつ「…まあそりゃ、Aさん次いつ会えるかわかんないし」
凄く照れて顔を赤くして、私の目を見つめてそういうとしくん。
複雑な気持ち。
嬉しさと寂しさとが混じりあって、なんとも言えない。
「そっか、ありがとう」
としみつ「ん」
「としくんと一緒ならどこでもいい」
自然と出た私の言葉に、としくんは「はぁ!?」と言いながら私を見て「…馬鹿だげ」と目をそらした。
あからさまに照れる姿に心が痛い。
____もう見れるのが明日で最後。
じっととしくんを見つめてると、
____としみつ「まぁ俺もどこでもいいけど」
そう小さく漏れた声。
気付かないふりをした。
きっとこれはとしくんの本音だと思ったから。
としみつ「…花火…とか?」
「えっ、花火!?」
としみつ「…嫌とか言わんよね?」
「…嫌とか言わん」
としみつ「よし、決まり」
____私の夏休み
最初で最後の思い出に、好きな人と花火大会。
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なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時