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としみつサイド
____りょう「じゃあAと一緒に昼ごはん買ってきて?これは俺からのお願い」
りょうの言われるがまま、
まあ、自分がAさんと2人きりになりたかったのもあるけど、
人生で1番緊張する勢いで、Aさんを誘った。
____「行きますか」
そう言って、眉を下げて「暑いね」なんて笑うAさんは、世界一綺麗。
青空の下、蝉の鳴く声、隣にはAさん。
…もう俺、死んでもいいや。
無言の空気が、落ち着く。
相変わらずだ。
人見知りで、しかも女子と話すのが得意じゃない俺が、出会って1日の女の子に安心感を覚えた。
…それってすげーこと。
でも、せっかくのチャンスだから、
どうしても話したくて。
としみつ「就活…上手くいってないの」
そう話題を切り出したけど、
ちょっと不服そうな顔をされて、
しまった。嫌なことを思い出させてしまった。と後悔。
「ちょっと上手くいかないかな」
そう答えたAさんは、やっぱり少しどこかやつれているような気がした。
わざわざ、東京まで行く必要なんかないのに。
岡崎にいれば、いつだって会えるのに。
俺が、助けられるのに。
でも、自立したいから。そう言ったAさんがかっこよかった。
最近一人暮らしを始めたものも、家事に手一杯で、実家に頼りっぱなしの俺とは全然違う。
やっぱり、素敵な人だと思った。
そんな中、「…そっか」しか言えない俺は、やっぱりダサい。
りょうみたいに、頭を撫でて「お疲れ」なんて言えたらすげーかっこいいのにな。
黙ってると、Aさんからの視線を感じて、思わず横を見る。
すると、しっかりと見つめられて、
「岡崎で仕事探せばよかったな」
そう言われた。
不意打ちに、ドキっとする。
それはどういう意味だろう。
俺を見つめて、そんなこと言ったら、変に期待してしまうというか、ドキドキするというか、
…ずるいやん、それって。
「もしそうしてたら、毎日幸せだったかな」
としみつ「…」
「上手くいかなくて、疲れても、すぐに皆に会えるから、気持ちが楽だったかな」
…やっと、理解できた。
____Aさんは、俺が思ってる以上に弱い人なんだ。
思い通りに行かないことが、苦しくて、辛いんだ。
どうしょうもないくらい、辛いんだ。
わかった途端、Aさんが余計に愛しく見えた。
助けたいと思った。
____としみつ「俺なら、Aさんを幸せにできるよ」
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なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時