〇 15 ページ15
としみつサイド
目を開けてそこに居たのは、好きな人。
朝から目覚めの良すぎる最高の展開に、胸がドキドキしっぱなしの俺は、慌ててもう一度寝た振りをする。
薄く目を開けた目の向こうには、俺を起こそうか迷うAさん。
一度伸ばした手を引っ込めて、「どうしよ」と小さく漏れる声に、
なんて可愛らしい人なんだ。と心の奥で呟くばかり。
「…おはよ」
「あっ」
我慢出来ずに言えば、少し驚いた顔をし俺をまじまじと見つめ、後ろに手をついて下がっていく。
「驚きすぎじゃないすか」と言ってみれば、慌てて首をぶんぶん横に振る姿に、胸が熱くて痛くて。
「ごめん、まだしばらく起きないかと思ってて」
「…そう」
緊張のあまり、全然喋れないチキンな俺が憎たらしかった。
____昨日あったばかりのAさんとの空間が、無言の空間が、
何故かこんなに落ち着くのかは俺にはさっぱり分からない。
「…お腹空かない?」
そうぼーっとしてたら、Aさんは俺に問いかけた。
「…空いたかも」
「空いたよね、私も。勝手に冷蔵庫漁っていいかな」
「いいでしょ」
「いっか」
初めての日常的な会話に胸は踊りっぱなしで、
俺の目はAさんに引き付けられたままで。
Aさんは背伸びして冷蔵庫の中を漁る。
少し背が小さいところも、本当に可愛い。
「Aさんって料理できるんすね」
思わず漏れた声に、Aさんはちらっと俺を見た。
「うん、得意なの。お料理」
そう言って笑ったAさん。
思わずドキンと大きく胸は跳ねた。
…素敵な人だな、本当に。
料理が得意だとアピールするような女性、本当は好きじゃない。嫌い。
なのに、Aさんは嫌じゃない。
むしろ、魅力的だと思った。
気づけば、またAさんを目で追ってぼーっとしてた俺。
「あっ、りょうくん出てきた」
Aさんのその声にはっと気づいてドアの方を見ると、風呂上がりのりょう。
爽やかすぎて、イケメン過ぎて、腹立つ。
ふたりきり邪魔された、腹立つ。
「え、朝ごはん?」
りょうは出てくるなり、俺をガン無視してAさんの隣に並んだ。
思わず
…Aさんとりょう。
お似合い。
そう口に出して呟いた。
…腹立つ。
「うん、目玉焼き」
「よっしゃ、Aの目玉焼き好きだよ俺」
「そうなの?嬉しいな笑」
くそ
…腹立つな。
いい感じなの腹立つ。
…とりあえず俺は、朝からときめき怒りで、感情が忙しかった。
573人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時