" The Greatest " second

はーちじゅー ページ32

泣きすぎて目が痛くなってきた


森くんは私の顔を優しく包んで涙を拭ってくれた




「あ、俺めちゃ手汚いんやった」




「バイ菌入るっ…」

さっきまでグラウンドで練習していたもんね…



「…あお腕大丈夫やった？」



実は森くんに勢いよく振りほどかれた時にぶつけた腕は



「ひび入ったっ…」



「えっ…？ほんまに…？！ご、ごめん…」




「嘘、ただの打撲っ…」




「なんやーもうー俺より重症やんって思ったわ」




骨折よりひびの方が治り悪いって言うもんねなんて話ながら




「顔もほとんど治ったみたいやな」



「うん、だいぶ」



顔に関しては気づいたら治っていて、少し唇の横が切れているくらい



「痛かったやろ、あの時触ってごめんな」




「私こそ手握っちゃってごめん…」




「あーあれ、ほんまは全然痛くなかった…俺怪我してたの肘だし」



そか、考えてみれば森くんが怪我したのは肘であって

手を握ったところで、痛くはないか…



「あの時は俺がガキすぎたから、あおは何も悪くない

普通は心配するもんなのに」



「もう大丈夫だよ…」



森くんは凄く反省していて、私ばかり悪いと考えていたからお互い思いやりすぎてるかなと思った



「ずっと気になってたんやけどなんでスーツ？」



あ、そういえば私スーツだったんだ…




「企業の説明会行ってて」




「なにしにー？」




「…4年生でもう卒業だから就職活動」




「え、就職するん？」



さっきのやっぱり"結婚しよ"って言ったのかな

結構しよに聞こえたなんて言えないし、結構とは…って

その聞き間違いのせいで反応できなかった



「しないよ……」



もしかして、プロポーズ…だったのかな

結構しよにしか聞こえなかったよ…………！！

もう１回言ってくれないかな…





森くんは着替えてくるから車で待っててと言われて、鍵だけ預かって乗り込んだ



そうだ、免許取ったし運転しようかな…うっすら考えたけど朝早くから疲れたのか寝てしまっていた






目を開けば森くんが運転していて、




あ、この感じ凄く久しぶりだ


助手席から眺める森くん、本当に格好いい



ずっーとこの景色見ていられるんだろうな



「もう着くで」




「うん、ありがとう」



仲直りできて、本当に良かった



「森くん、鍵…」



森くんが置いていった鍵、返すっていう表現か合っているかわからないけど…


ありがとうって言いながら受け取ってくれた森くん




ちゅっと小さく音を立ててキスをしてくれた

何でも久しぶりに感じちゃう






「あおのこと抱きたい」

はーちじゅーいち→←ななじゅーきゅー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す