" The Greatest " second

ろくじゅーろく ページ17

浅村さんの車に乗せてもらって、うまく話せたかわからないけど話した



「友哉には話してないん？」



「話せていないです…」



「今の友哉には話しにくいか」



「実は、森くんが怪我してから会ってないんです」


春休み中でなのちゃんにも相談できていなかったことを今だとばかりに話した



「どんな言葉をかけたら、どんな言葉も傷つけちゃうって考えていたら、何も言えなくて」


本当、あれから何度も文を作ったり、電話しようと思ったのに

少しの勇気と決断ができなくて


弱いうえに、びびりの私には1歩が踏み出せずにいた





「何も言わなくていいと思う。

ただ隣にいてくれれば俺だったらそれで十分」



まるで愛しい人のことでも考えているみたいに優しい声で言ってくれた浅村さん


たくさんごちゃごちゃうじうじ一人で考えていたのに



_________ ただ隣にいる




私も深く落ち込んだりすれば言葉なんて求めない森くんに傍にいてもらえればいいかもしれない









「あおちゃん、友哉にもちゃんと話せる？」





そう、ぱっと光が差した気分だったけど状況は何も変わっていない




「俺でよかったら、毎日送ろうか…？」



「え、…？」

何とも可愛くない驚き方をしてしまった



「いや驚き方」と笑われて、今日始めて浅村さんの笑顔を見た



「そんな、ご迷惑かけられません…」


こんなつもりで話したわけではない


でも地元を離れ女子大で男友達がいるわけでもない私には今のところ解決の仕方がわからないでいた


それでも、野球選手の浅村さんに頼るのは……しかも開幕間近




「今の友哉に頼りにくいんやろ？」


ずばっと思っていることを当てられて、焦るばかり


「大丈夫やて、ちゃんと送り届けるから。俺見た目怖そうやし？？」やんちゃに笑う顔は少し森くんに似ていた



「飲んだ日は徒歩になるけど」追い討ちをかけるように弾んだ声で言うのがたまらなく面白く感じた



「ありがとうございます…」



「約束して？俺が遠征行ってるときは陽がでているうちに家に帰れるように、今日みたいな場合はすぐタクシーとかに乗り込むことこれ守って？」


「………」


「そうしないと意味ないやん…？俺友哉の分心配してんやから…」




本当に心配してくれているっていうのが伝わってきた



見ず知らずの私を…こんな風に想ってくれているなんて

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