28. えらいって ページ28
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元気を取り戻したシャオロンは、
家に帰ってこっぴどく親から怒られたらしい。
昨晩のことを解説してくれた鬱君は、
「べんきょ、すりゅ」と兄の情けない姿を見て意気込んでいた。
怒ってくれる両親がいるなんて幸せ者だけどな。
「…ねーちゃん、あしたてすと?」
「うん。明日からテスト」
「がんばえ!がんばえ!」
精一杯背伸びをして、シッマが私の頭を撫でる。
…めっちゃ頑張れる(真顔)
「ありがとお、しっま!」
「今日からテスト期間かぁ。懐かしいわ、頑張ってください」
「息抜きも大事ですからね」
「わぁ。ありがとうございます、頑張ります」
チーノさんとショッピさんから励まされながら、
シッマを保育園に預けてから学校へ向かう。
かなり緊張感のある教室内。
出席番号順に着席するよう指示が出される。
ぺいんとは一番前の席で、
私は教室の真ん中よりの席。
真後ろはらっだぁの席で、まだ学校へ来ていないみたい。
教科書のめくれる音と、
必死にシャープペンシルが紙の上を走っていく。
単語帳をぺらぺらめくったって、
今更頭に入るものなんて数少ないから、
テストが始まるまで気分転換に歩こうと廊下へ出た。
極めて静かな校舎内をぐるぐる回っていると、
空き教室で見慣れた人影を発見した。
「らっだぁさーん?」
「A」
「おはよ。教室向かわんの?」
「…サボろうかなって」
私の方を振り向いたらっだぁの表情は暗い。いつも以上に。
雰囲気悪いなぁなんて思いながら、
優等生の皮を被り続けているらっだぁの口からサボるなんて言葉が出るなんて。
「勉強のし過ぎで気でも狂ったか」
「そんなとこ」
「あそ」
今回のテストは、かなり重要な試験である。
進級する上でも、進学や就職にも関わってくる試験。
凡その教科も、今回の試験で今学期の成績が決定する。
「ま、私はシッマに応援されたんでね。一緒にサボれないんですけれども」
「なら、早く教室戻りなよ」
一向にらっだぁと視線がかみ合わない。
空き教室から出ようとする私と、
その場から動かないらっだぁ。
「なきそうな、かお」
ようやく視線が交ざり合う。
複雑な表情をする彼を見て、
私は特に何も思わないが、
きっとゾム君は、子供ながらに沢山のことを思って、
たくさん悩んで、
笑ってほしいと、元気になってほしいと思うんだろうな。
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のんたん(プロフ) - 主様の作品大好きです!すごい引き込まれるし面白くて大満足です!少し垣間見える闇がたまりません。のんびり待つので更新は主様のペースでお願いします!定期的に見に来て余韻に慕ってます!! (10月15日 11時) (レス) @page38 id: d906a8bcb0 (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - え…これさ、夢主ちゃんの親、疑っていいやつ…? (10月5日 18時) (レス) @page35 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ミミック(プロフ) - 見てる途中に見れなくなってしまいました。パスワードの解除待ってます (8月22日 23時) (レス) @page8 id: 552a25aaf1 (このIDを非表示/違反報告)
リトマス紙 - 主様のこちらの作品最高すぎます…!!丁度今一気見させていただいたところなんですがなんとも言えない余韻に浸ってます…!!笑笑のんびり待つので主様もゆっくりご自分のペースで更新、頑張ってください!!好きです!!() (7月26日 5時) (レス) id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - グッフッ(照れるemがすっげぇかわちぃ)(*´’Д’) : ;* : ;カハッ (7月2日 16時) (レス) @page14 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
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