【wrwrd】 弟溺愛症候群

3.　おてあらい ページ3

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「いつ来てもビビるわ…。広すぎんだろ」

「ま、寂しいだけやけどね」


家へ案内すると、

シッマとゾム君は靴を乱雑に脱いで部屋に入っていた。

ロボロ君だけは靴は揃えて「おじゃまします」と礼儀正しく家に入ったが、

「ねこかぶりー」だの、「いつもそんなことしとらんやん」だの煽られて、結局怒りながら部屋へ入った結果、靴はぐちゃぐちゃ。


「今日も親御さんいないんだね」

「当たり前のこと聞かんといて〜」


家庭事情は多分、夜より暗くて、

海より深いと思うから。うーん。


「みんなー、まず家に帰ってきたら何するんだっけなぁ」


帰ってきて早々ゲーム機を取り出そうとするゾム君を止める。


「てあらい！」

「シッマ正解！おてて綺麗にしてからあそぼうね」


手洗い場は、子供の身長よりもかなり高いので、

シッマはいつも私が抱えてから手洗いをしている。

ロボロ君も大人しく手を洗っていたが、

らっだぁがゾム君を抱えると、

「やめろぉや！！」とゾム君が暴れた。


「どんだけ嫌われてんの」

「らっだぁ、きらい」

「ぞむかわいそう」

「ロボ太とコネシマ君にも嫌われてんじゃん」


たぶん一緒に公園で仲良く遊んでいる所をみると、

ゾム君はらっだぁのこと本気で嫌いだとは思わないけど…。

この拒絶具合は笑うしかない。


「じゃあ、俺と一緒に洗おうか」

「おん！！」

「うわ、いい笑顔。いいもんいいもん、子供に好かれなくても」

「はいそこいじけないー」


隅っこで暗くなるらっだぁを置いて、

私はオムライスづくりに取り掛かる。

エプロンを巻いて、キッチンへ向かうと、ぺいんとが顔を出した。


「なにか手伝おうか？」

「んー」


がしゃーん、と音が聞こえる。確実に何か倒れた。

誰かの泣き声が聞こえる。

ケラケラ笑う誰かの笑い声が聞こえる。

……らっだぁサンの焦るかおが思い浮かぶ。


「…本当にお気遣いありがたいのですが……、

ちょっと子供たちの面倒と、

そしてらっだぁの様子もついでに見ていてくれるとありがたいっす」


ぺいんとは、そうだね、と軽く笑い、

急いで音のする方へ行った。













涙目のロボロ君。

ぷくぅと頬を膨らませたゾム君。

ひーひー、腹を抱えて笑っているシッマ。

額に汗をかき、息を切らすペイントとらっだぁの姿。

概要は聞かなかった。もう知らん知らん。



「オムライスできたよ」



その一言で、子供たちは笑顔を取り戻す。





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