昔と今 ページ24
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「A、少し太った?」
「…へ!?やっ、やっぱりそうですか?!太りましたよね、私…。」
「うん。でも前が細すぎたからそれくらいの方がちょうど良いよ。」
「あ、ありがとうございます?」
今日は非番で、またもや霞柱様改め無一郎くんも非番らしく、一緒に穏やかな時間を過ごしていた。
何故霞柱様を無一郎くんと呼んでいるかは、無一郎くんがそう呼ばないと怒ると言ったからである。
「にしてもここ、素敵なところですね。」
無一郎くんは少し山奥にある、素敵な空間に連れてきてくれた。木のベンチがあって、そこに座る。とても空気が美味しいし、まるで何もかも忘れられるような、そんな感じだ。
「Aはどうして鬼狩りになったの?」
無一郎くんが空を見ながら私に問う。私は正直戸惑った。
「私は______」
昔のことを話すのは少し胸が痛い。苦しい。
___あの日の光景を思い出してしまうから。
それでも、無一郎くんには自然と話せた。
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私には幼馴染みがいた。
誰よりも真っ直ぐで優しくて、心が広い男の子だった。
ある日の夜、小さいながらにロマンチックな考えを持った彼は私に星を見に行こうと誘ったのだ。
私はもちろんその話に乗って、二人で星空を見ていた。
小さな村だし街灯もあまりない。
とても綺麗だった。今でも忘れられないくらいに。
「Aとこの星空を、どうしても見たかったんだ。」
彼は目をキラキラさせてそう言った。私は心から嬉しかった。それなのに、そんな幸せな時間なんて一気に絶望に変わった。
___鬼が来たのだ。
鬼は彼のお腹に手を貫通させ、彼を食べ始めた。
私は何故か、逃されたのだ。
恐怖で何も考えられなかった。血塗れになる彼が、彼の笑顔が忘れられなくて。
嘘だ、夢であってほしいって。どれほど願っても胸の痛みは消えなかった。
____そして家に戻ったら、家の中までもが赤色に染まっていたのだ。
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「…それで、私は鬼が許せなくて鬼狩りになりました。」
あの時は、当時の花柱様に助けてもらった。今でも覚えている、とても優しい方だった。
私の手を掴んで、「ごめんなさい。でもあなたは生きた。みんなの分まで生きてあげて。」って。
「…そっか。」
無一郎くんは相変わらず空の方を見てそう言った。
何を考えてるかなんてわからないけど、私の手を握っていた。
「今は、俺がいるから。」
そう言う彼は、ふわりと笑った。
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Nami☆ - 面白かったです!冨岡さん推しなので、冨岡さんルートあって良かった!😄 (3月18日 9時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - ヤルネコさん» すみません汗!アンケートの結果5人のオチを書いて終わると言うことになりましたので、他のルートを書く予定はございません。本当にごめんなさい! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - ヤルネコさん» すみません汗!アンケートの結果5人のオチを書いて終わると言うことになりましたので、他のルートを書く予定はございません。本当にごめんなさい! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - トモさん» ありがとうございます!そう言っていただけるとかいてよかったなって心から思えます、ありがとうございます!!義勇さんに!嬉しいです!善逸のまで読んでくださるんですね汗本当に感謝でいっぱいです。これからもよろしくお願いします! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
ヤルネコ - 他のルートも、ぜひお願いします! (2020年4月8日 15時) (レス) id: ad493a3440 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬん | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2020年3月23日 14時