【募集企画】仮想世界戦争【#コンパス】3 (ページ41)

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130.疑心暗鬼ページ41

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「もう少しで着くよ。」

「玲、ありがとう。」

私は家を出てから玲の家の所持する、なんだかすごく高そうな車で送っていってもらっている。

本当にとんでもなく高そうだ。私が乗っていいのかと何度も確認したくらいだ。

玲は当たり前のように、早く行こうと急かすが、玲がとんでもなくお金持ちなお嬢様なのをすっかり忘れていた。

やっぱり玲はすごい。改めて思う。

車の中から外を眺めて思う。
私は、美空にどんな顔をして会えばいいのか。

実際のところ強引に電話を切った上に、電話にひとつも出ないのは彼女だし、私が罪悪感を感じているのと同じように、彼女も罪悪感を感じているのだと思う。

別に私はなにかを謝って欲しいわけじゃなかった。ただ、ちゃんと本音を話して、お互いに信頼できたらいいな、と思っていた。信頼関係は決して浅くないと思っていた。それなのに、彼女は、私には言えないと、堂々と伝えてきた。中途半端な裏切りを受けた気分。正直、結構悲しかった。

そんなことを考えていると、突然私のスマホが鳴った。メールかと思ったが、電話のようだ。

知らない番号…。
不審に思いつつも、この状況だと、#コンパスの方で何かあって連絡が来たのかもしれない。そう考えると、出るという選択肢しかなかった。

電話に出ようとする私を、隣の玲は心配そうに見つめる。そんな玲に口パクで大丈夫、と笑っいながら電話に出た。

「…もしもし…」

電話には、アンリ・スミスという男の子からのようだ。

ざっくりと内容をまとめると今美空は休憩中で、その間にそのアンリという彼が色々手を回しているようだ。#コンパスの中心核である管理者、美空を支えられるのが、私だけ。だから傍に居てやって欲しい、といったお願いだった。

そもそも、アンリ・スミスという彼だってよく分からないのに、いきなりお願いをされても、内心よくわからずに困ってしまう。

そもそも彼が本当に信頼できる相手かどうかだって定かではないのだ。

その上、彼だって電話越しで「美空がどれだけ突き放しても、」と言ったように、私は拒絶されているのだ。一体、そんな私にどうしろと言うのか。

私はなんて返したらいいのか、とても戸惑ってしまった。

なんて言葉を返せばいいのか、分からなかった。