今宵、月夜に君は輝く。Ⅲ (ページ10)

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行く宛てがなくなりとある人物へ連絡する

『あ、もしもしすみません急に』

「全然大丈夫やで、どうしたん〜？」

電話の相手は丸ちゃんさん

丸ちゃんさんのゆったりとした声を聞いて肩の力がぬけた

『あの日、花火みた屋上って今日行けたりしませんか？』

こういう時はぼーっと風に吹かれながら物思いにふけるのが1番

今までは家のベランダでそうしてたけど、今日はまだあそこに帰りたくない

「全然ええで〜
今ちょうどビルいるから屋上の鍵、ドアの横にある消化器の裏に置いとくわ」

『すみません、ありがとうございます』

「終わったら鍵また同じとこに置いといてくれてええから〜」

ありがたいけどそんなに鍵の管理ずさんで大丈夫？

電話を切り、2人に鉢合わせないよう細心の注意を払いながらショッピングモールの前にあるタクシー乗り場まで行き、

丸ちゃんさんが送ってくれた住所を運転手さんに告げて連れて行ってもらう

着いたのは、あの日ぶりに訪れる6階建ての雑居ビル

思い出すのは大倉さんと一緒に花火を見てキュンキュンしたこととか、
その後、女の人と一緒にいる章大くんを見たこととか色んなことがフラッシュバックする

…私の恋愛ってどうしてこうも一筋縄にいかないんだろうか