今宵、月夜に君は輝く。Ⅲ (ページ9)

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『私、実は予定あって……』

「あら、そうなの？」

『なのでおふたりでお楽しみください！じゃあ！』

「ちょっ、Aちゃん…？」

早口でそう言って、2人に背を向けてちょうどいいタイミングで開いたエレベーターに乗り込む

これ以上、2人を見ていられなかった

大倉さんを好きだと言う恋心と、久しぶりに好きな人に会えたのに結婚してたっていう言葉にならないような辛さを知ってる身として大倉さんに感情移入してしまって息が詰まりそうだった

今日ぐらい、、三浦さんが帰る前ぐらい少しの間一緒にいてもバチは当たらないはずだ

きっと大倉さんも三浦さんと一緒にいられる少しの時間を楽しみたいはずだ

考えれば考えるほど自分が惨めで泣きそうになる

大倉さんのことは……諦めよう

私に三浦さんを忘れさせれるほどの魅力があるとは思えない

勢いで乗り込んでしまったせいで地下駐車場についたエレベーターを降りて、1人とぼとぼあてもなく歩き始める

駐車場の無機質でひんやりとした空気の中にいると色々と考えてしまう

今頃、2人は楽しく昔話に花でも咲かせてるのかな…………