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『えー！ そなんですね…！』
いちMoonファンがショッピングモールで偶然正体不明のMoonのデザイナーと出会い正体を知ってしまった時の反応として相応しい反応ができていただろうか
大倉さんは初めてベランダで会った日に長年片思いしてた人が2年前にアメリカに行ってしまった言うことを教えてくれた
けど、その人がMoonのデザイナーだと言うことを私は知らないと思ってる
好きなブランドのデザイナーにあえたことを純粋に喜びたいのに、そうはさせない複雑な恋心。
あぁ、この人が大倉さんが好きだった人……
いやもしかしたら今も現在進行形で好きな人かもしれない
そう思うと胸が締め付けられる。
「というか、大倉くん連絡先変えたでしょ？」
「あれ、伝えてませんでしたっけ？」
ニッコリと笑う大倉さんだけど、目の奥は笑ってない
無理して笑ってるみたいな表情
大倉さんはやっぱり三浦さんのこと今もまだ好きなのかな……
そんなことを考えてると三浦さんの左手がふと目に入った
キラリとひかる薬指。
ずっと一途に思い続けてた人とやっと会えたのに、誰かのものになってるなんて辛いよ…耐えられないよ
あの日のことを思い出して大倉さんに感情移入してしまう
けど、大倉さんは私よりずっとしっかりしてて表情を崩すことなく話し続けてる。
「伝えてないよ！ だから、さっき吉田くんづてに連絡してもらったの、こっち帰ってきてるから久しぶりに飲まないって」
「あーさっき吉田から電話来ました」
「でしょ？ なのに大倉くん断ったでしょ！」
「いやいやすんません
これから新しい企画始まるんで忙しくなるんですよ」
にこやかにそして軽やかにラリーしてる2人をただただ見ることしか出来ない
傍から見てもお似合いな2人。
「今日、この後暇だったらご飯でもどう？
お姉さんも一緒に、ね！」
Moonのデザイナーと一緒にご飯なんて最高の機会
けど、大倉さんと大倉さんのことが好きな私と大倉さんに想われてる三浦さんの3人でって考えるとそれだけで息が詰まる
三浦さんの大倉さんへの気持ちは分からないけど私がいないだけでややこしい3人の相関図から余計な矢印が消える
邪魔者は私。
…大倉さんのことを邪魔したくはない
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作者名：アイスクリーム | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2019年10月8日 20時
