今宵、月夜に君は輝く。Ⅲ (ページ3)

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「どーぞ」

『ありがとうございます、』

ニコッと笑いながらわざわざ私のために助手席を開けてくれるとてつもない王子様っぷり。

お祭りの日ぶりに乗る大倉さんの車は相変わらずいい匂い
なんて相変わらず変態みたいなことを考える私。

車にはいい感じの洋楽が流れてて何から何までオシャレ

「車、タバコ臭ないやろ？」

『はい、！全然、匂いしないです』

「実は最近、禁煙中やねん」

ハンドルを握って視線は前のまま上がった口角。

めちゃくちゃかっこいい………

けど、脳裏に浮かぶあの時の大倉さんの言葉。

好きだった人が吸ってるタバコと同じ銘柄を自分も吸ってると言ってた大倉さん。

吸うとたまに思い出してしんどくなると言ってた大倉さん。

吹っ切れたから吸わなくなったのか、それともこれ以上思い出すのもしんどいぐらい今も好きだからなのか…

どういう心変わりですか？

なんてことは当然聞けなくて、前者であれと願いながら目的地に着くまでの大倉さんとの会話を楽しむ。