錦戸くんに焼きそばパンあげたら好かれました。 (ページ27)

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制服を着替え、マップのアプリを見ながら着いたお母さんのパート先のお好み焼き屋さん

かれこれ3年ぐらい働いてて、店長さんともすごく仲がいいらしい

準備中の札がかかってるドアを遠慮がちに開けると、

「あ、どーも！今日はほんまにありがとう！」

私を見つけるなり手をぎゅっと握ってブンブン振られる

関西弁だ…なんて錦戸くんの顔が頭によぎるんだからもう末期

『今日、1日よろしくお願いします』

「よろしくな〜息子手伝いに来させてるからAちゃんは、裏で主に洗い物しとってくれたらええから」

『はい、わかりました！』

「じゃあ頼むな〜」

お店のエプロンをつけてお店の開店に備える
店長さんは裏に、私は机拭き

どれぐらい忙しくなるもんなんだろって不安に思ってるとガラガラ音を立てて開く扉

開店まだだよね？どうしよ…
少し焦ってると、

「あれ、オカンは？」

入ってきたのはうちの学校のジャージのポケットに手を突っ込んでる美形男子

うちの学校にこの人のことを知らない人はいない

「すばる！あんた遅いわ！」

「来てやったんやから感謝せえ」

すばる呼ばれた彼は、うちの学校の有名人

というか学校外でも有名人

うちの学校には普通科とスポーツ科がある

運動音痴の私はもちろん普通科
渋谷すばるはスポーツ科

学年も科も違って関わりはないけど普通科の私まで活躍を耳にするほどの活躍っぷり

水泳の推薦でうちの学校に入学して、ありとあらゆる大会で優勝してて将来の金メダリストか？！なんて少し前も新聞に載ってた

「今日いつものパートさんが来れなくなってもーてその娘さんのAちゃんが来てくれてん」

『よろしくお願いします！』

ペコッと頭を下げると、うすっ…って塩な返事で少し心が折れる

「ごめんなあ、この子人見知りやねん」

「要らんこと言わんでええねん」

そう言いながら慣れた手つきでエプロンをつける渋谷すばる

スポーツ科とは授業も一緒になることないし、関わりは学校行事と全校集会ぐらいで学年が違うとなると関わりはほぼゼロ

だから、有名人の渋谷すばるをこんな間近で見たのは初めて

「そういえばAちゃんすばると同じ学校やで」

「へーそうなんや。普通科？」

『あ、はい！そうです』

「ふーん」

初めて目が合ったなんて思ったのもつかの間、興味無さそうに裏に行ってしまった