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その後も私の慰め会は続いてるけど、大倉は不機嫌なまま
「ごめん、俺この後用事あるから帰るな」
頬杖をついてそっぽ向いてる大倉をみて眉毛を下げながらそう言う亮ちゃん
『今日はわざわざありがとうね』
「今日はいっぱい飲んで忘れーや」
ニコッと笑い万札を卓の上に置きこれで払っといてと言い残し颯爽に帰っていった
…亮ちゃんの悪魔じゃない笑顔久々に見たな
『亮ちゃん、太っ腹だね』
不機嫌な大倉に話しかける
「そうやな」
言い終えると亮ちゃんの頼んだ唐揚げを無心で口に運んでまたそっぽを向いた
この重々しい空気の中、
実は彼氏なんていなくて、亮ちゃんに嘘ついてたんだよね〜
なんて言える図太い神経はあいにく持ち合わせてなくて私も無心で唐揚げを食べる
隣合わせで座ってるのに会話はなくて、お互い唐揚げをただただ食べてる男女
傍から見なくても異様な光景なことがわかる
よし! この唐揚げを食べ終わったら大倉にほんとのこと言おう!
残り2個の唐揚げの右のを私、左のを大倉がとる
唐揚げを飲み込んだタイミングで意を決して大倉に話しかけようとする
『あのさ、』
「あのさ」
『あ、先いいよ…』
…話しかけようとしたもののタイミングが被ってしまった
「そろそろ帰らへん?」
『あー…そうだ、ね』
「んで、Aはなんて言おうとしてたん」
『ううん、なんでもない』
つまらなそうな大倉に自分の話を出来そうにもなくまた断念
完全にタイミング失った
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作者名:アイスクリーム | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2024年1月29日 20時