36 ページ36
「ほんとに今日どうしたん」
唐揚げを食べる手を止めてまで深刻そうな顔で聞いてくる
亮ちゃんがここまで心配してくれてるってことはよっぽど様子がおかしかったのかなと思いつつも、
『なんでもないよ、ほんと全然大丈夫!』
としか言いようがない。
亮ちゃんから目線を外してスープを飲むけど、感じ続ける視線
ゆっくり目線を戻すと私のことを深刻そうな目つきで見てる亮ちゃんと目が合う
「Aさ、もしかして………」
手に持ってた箸を置いてまで深刻そうに言ってくるもんだから思わず背筋を正す
「彼氏に振られたんか、、、?」
『へ?』
思ってもなかったことを聞かれて声が裏返る
そもそも彼氏なんていないんだけどな
ん?待てよ………
ここで、実は彼氏と別れたって言えば亮ちゃんの中で存在してることになってる架空の私の彼氏とおさらばできるってことだよね
もう嘘ついたりしないでいいってことだよね
『実は………そうなの………』
ため息をつきながら俯いてみる
うさんくさかったかな、、、って少し不安になってると
「やっぱりな、最近様子おかしいなって思っててん」
実際は彼氏もいないし、だから勿論別れ話もしてない訳なのにそんなに様子おかしかったの私?
「俺がやいやい言ったから言いにくかったんやろ?」
『いや、全然そんなことないよ!』
ごめんなって眉を下げて謝られる
心が痛む………
「なんで別れたん?」
やばい理由なんて全く考えなかった
『彼氏、束縛激しくてさ…
亮ちゃんとか大倉と飲みに行くなって自分なんて後輩の女の子とサシで飲んだりしてたのに』
束縛激しいのは大学の時付き合ってた彼氏
亮ちゃんと大倉と一緒に飲むのよく思ってなかったのは1年目にできた彼氏
後輩の女の子とサシで飲んだのはこの両方
パッと頭に出てきた元カレ2人をミックスして理由をでっちあげる
「よしっ! そうとなれば慰め会開いたるわ
どーせ暇やろ今日も」
『うん、いや暇っちゃ暇だけど…』
「ならええやん遠慮すんなって
俺、21時から約束あってあんま長くできひんけどその代わり全部奢ったるわ」
昨日も飲んだし、さすがに今日は休肝日にしたいって思ったけど彼氏と別れたばっかりの人がそんな現実的なこと言うかな
別れたばっかりの人をおろして最適解を考える
『ほんと? じゃあ…お願いしようかな』
私の肝臓を犠牲に、架空の彼氏とおさらばできるなら安いもんか
大倉に今日も夜遅くなる連絡しとかなきゃ…
129人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アイスクリーム | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2024年1月29日 20時