グランシヤン(緑) (ページ35)

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「お前今日ずっと上の空やん」

亮ちゃんに頭を軽くファイルで叩かれる

そりゃ上の空にもなっちゃうと思う。

昨日、迎えにきてくれたあと1杯だけ付き合ってって言われたから一緒にリビングで飲んで、私は寝室のベットで大倉はリビングのソファーで寝た

いつも通りっちゃいつも通りだけど、たった1枚の扉を挟んだ先には大倉が無防備に寝てるんだよな、、、とか考えたら物音全てが気になっちゃって寝不足だし、

そんな寝不足の私を朝見るなり、いつもの笑顔で眠そうやな。とか言いながらコーヒー作ってくれたし、

送ってくれる車内もハンドルを握る姿が今までの数十倍魅力的に見えるし………

とにかく全てに心臓がバックバック

大倉の一挙手一投足を意識しちゃって仕方がない。

けど、イケメンで今まで女に困ったことない大倉はきっと私のことなんて全く意識していないのに私だけバカみたいに意識してて悲しくなる

『はあ…』

「朝からずっとため息ついてるやん、10回以上してんで」

そう言って私の腕を掴んで、無理やり立ち上がらせる

「とりあえず昼飯食ってパワー補給しに行くで」

『…はい』

2人で社食に行くために降りてきたエレベーターに乗ろうとすると、

「お、大倉やんお前もこれから昼なん？」

「そやで〜」

エレベーターの壁にもたれかかってる大倉が…

そんな様子すら恐ろしいほど絵になる。

「じゃあ一緒に食べ、、、うわっ！」

大倉のことを誘おうとしながらエレベーターに1歩踏み込んだ亮ちゃんの腕を掴む

『亮ちゃん！私、財布忘れちゃった！』

「はあ？」

困惑してる亮ちゃんを無理やりエレベーターから降ろして腕を引っ張りながら来た道を戻る

ただでさえ、上の空なのにこんな状況で大倉に会ったら大変なことになる。

それに、私は内心ドキドキなのにいつも通りの大倉をみたら傷つきそうだし、、

こんな中、一緒にお昼食べるなんて……
心臓が何個あろうが足りない……

部署まで戻ってきたはいいけど、あの状況から逃げるために財布を忘れたなんて全くのデタラメを言っちゃったせいでここからどうすればいいか分からない

「早く財布取って行こーや」

『あーうん…』

「どうしたん？」

『……財布あった』

覚悟してポケットから財布を出して亮ちゃんに見せる私

この男がなんやねーーんおっちょこちょいやな♪なんて言ってくれるわけもなくて眉間に皺を寄せながらただただ睨まれる