グランシヤン(緑) (ページ33)

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「『かんぱーーい」』

ジョッキの当たる音が響く

昨日も飲んじゃったけど気にしない！

・

「彼氏がほんとにかっこよくてね…」

『うんうん…』

「彼氏がこの前プレゼントくれてね…」

『うんうん…』

「彼氏がもうほんと優しくてえ〜…」

『うんうん〜…』

かれこれ3時間ぐらい馴れ初めから惚気まで色々聞いてる

酔ってるのかこの彼氏が優しかったって話は2回目

「…ごめん私ばっか話しちゃってたよね！」

『全然大丈夫、むしろいっぱい話してほしい』

「どうしたなんかあった？」

『いやあ…なんか帰りたくなくて』

こう話してる間にもあのイケメンの笑顔が浮かんでくる

「帰ったら仕事しなきゃ〜とか、洗い物いっぱいあるな〜とか、で帰るの嫌な時あるよね」

『そうなの〜』

あと、帰ったらイケメンがいる〜とかね！なんて言って、

わ〜か〜る〜！って共感し合いたいところだけど、私と同じ状況の人なんて稀有

「じゃあさ、このあと２軒目行っちゃう？」

帰りたくないなら丁度いいじゃん♪ってご機嫌

帰りたくない私ともっと飲みたい照美
２軒目行くことは、まさにWin-Win！

『行く！』

時計を見るともうすぐ24時

最悪、タクシーかな〜なんて思ってたら
そんな私を見透かしたみたいに

「終電、無くなったらうち泊まればいいじゃん」

『うそ、いいの？』

「もちろん〜」

大倉に今日友達の家泊まるかもって連絡しようとスマホを開くと、スマホの画面が通話画面になる

「出なくていいの？」

『あ…ちょっと、、！』

通話ボタンを押すのを躊躇う私に痺れを切らした照美が勝手に通話ボタンを押す

『もしもし…』

「もしもし〜やっと出たな」

さっきよりリアルに大倉の笑顔が浮かんでくる

照美とはいうと、わざわざ私の横の席に移動してきてスマホにピッタリと耳をくっつけて盗み聞きしてる

「A、今どこにいんの？」

『…駅の真ん前にあるチェーン居酒屋』

「まだ、飲むん？」

ちらっと照美の方を見ると、さっきまで２軒目行く気満々だったくせに首をブンブン振って手ではバツを作ってる

すごい圧…………

『……いやもうお開きにしようかなってところだった』

照美の様子を見ながら言うとニッコリ笑いながらグーサイン

「ほんま？じゃあ迎えに行くで」

『え、いいよ悪いよ』

私が断ると、信じられないとでも言いたげな表情でこっちをガン見してる照美