グランシヤン(緑) (ページ16)

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「めっちゃお腹いっぱや」
『食べすぎたね。夜入んないかも』

個室を出てレジに向かう
私も結構食べたけど、大倉はその倍以上食べてた
この細い身体のどこにそんなに入るんだろって大倉のくいっぷりを見る度思う

1回大倉に細いのによく食べるねって言ったことあるけど＂脱いだらすごいんやで♡＂らしい
数秒後、亮ちゃんに＂こいつのどこが細いん？＂って言われてたけど

「Aごめん、俺個室にモバ充置いてきてもうた
支払っとくから取ってきてもらってええ？」
『おっけー任せて』

曲がり角を曲がってさっきまで食べてた個室に戻って大倉が座ってた位置を見ると置きっぱなしになってたモバ充を手に取って他に忘れ物ないか確認する

よしっ、大丈夫！

「あれ、Aちゃん？」

個室を出て大倉のとこに戻ろうとすると、後ろから少し訛った発音で声をかけられる

『丸ちゃんさん！』

丸ちゃんさんは、私の3個上で大学時代のサークルの先輩
兼亮ちゃんの地元のお友達でもある
世間ってのは思ってるより狭い

会うのは、半年前のサークル仲間の結婚式以来で、
久しぶりやなーって手をぶんぶん握られる
相変わらず丸ちゃんさんは愛嬌の塊みたいな人だ

「まさか、こんなとこで会えるとはなー」

『ほんとですね！』

「また、今度ご飯でも行こーや
しばらく行ってないやんな？」

『そうですね、最後に行ったのって…』

結婚式のちょっと前だったから、7ヶ月前ぐらいですよね？って言おうとしてたら、

「A？」
って曲がり角からひょこっと顔を出す大倉

「ああごめんなぁ、足止めしてもうたな」

『いえいえ、そんな全然
じゃあ、またお話しましょーね！』

丸ちゃんさんにペコッと一礼して急いで大倉の元へ戻る

『ごめん、遅くなって
焼肉ご馳走様でした！おいしかったです！』

「レジ終わったのに全然来んから個室の場所忘れて迷ってんのかと思ったわ」

片方の口角だけ上げて意地悪そうな笑顔で見下ろされる

『ごめん、話盛り上がっちゃって
あそうだ、モバ充あったよ』

「ありがとー、
さっきの人って会社の人？」

『ううん、サークルの先輩』

「なんか前言ってた、亮ちゃんとの共通の知り合いみたいな人？」

『そう、その人！』

なんて他愛ない会話をしながら駐車場まで行く

「帰りコンビニ寄って酒とつまみ買って、夜パーティーせえへん？」
『なにそれ最高』
「せやろ？」