グランシヤン(緑) (ページ15)

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ピコンピコンって大倉のスマホから通知音がなる

「あ、消音にすんの忘れてた」

そう言ってる間もまだまだ鳴り止まない通知音
鬱陶しそうな表情から誰からかすぐわかった

「＂いつ来たの？ちゃんと会って話したいです本当にごめんなさい＂やってさ」

大倉からぽんと渡されたスマホ
ホーム画面にはLINEの通知で埋まってる

『見ていいの？』
「ほーぞ」

白米でぱんぱんになってる口がリスみたいだなって微笑ましい
けど、どんどん送られてくるLINEは全然微笑ましくない…

通知をスクロールして1番最初から見る

『ねえ待って誤解なの…
会ったのも今日初めてだったのごめんなさい…
寂しくてごめんなさい…
でも好きなのはたあくんだけ…

大倉って彼女にたあくんって呼ばれてたんだ』

「ごふっ」

むせたみたいで烏龍茶を急いで飲んでる

『怒ってる？怒ってるよね？…
でも私本当に寂しくて…
たあくんって嫉妬とかしてくれないし私の事ほんとに好きなのかなって心配なちゃって…
ちゃんと話したい…
電話でてよ…』

ざっとこんな感じの内容のメッセージと不在着信が50件以上

全部読みたいところだけどあまりの量の多さに断念して大倉にスマホを返す

『既読つけてないの？』

「めんどいやん？」

そういって牛タンを網の上に置く
大倉の関心は彼女よりお肉らしい

「でもちゃんと蹴りつけなアカンよな〜」

めんどくさそうにアプリを開いて彼女とのトーク画面を私に見せてくる

「無言でブロックかなんか一言言っとくかどっちがええと思う？」

『なんか一言言っといた方がいいんじゃない？』

「おっけ」

お得意の高速入力で何か打ってまたわたしに画面を見せてくる

『別れよ…短くない？
なんか打ってる時から短そうな気はしてたけど』

「これ以外言わなあかんことないやろ」

そういってブロックボタンを押した
着拒もせなって言ってる様子が逞しい
お涙ゼロ

『ちょっとはジーンって込み上げたりしないの？』

「まっったくないな
3ヶ月も付き合ってないし、忙しくてあんま会ってないから薄いしな」

『なんか、可哀想になってきた』

「全然、可哀想ちゃうって」

あははは〜っていつもの気の抜ける笑い方してるのを見て別に強がって言ってるわけじゃないってのはわかるけどなんか不安になる。

神様、どうか大倉が感情を取り戻しますように。