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メンタル ページ25

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翌朝
Aの声が聞こえた気がして目が覚めた。
瞼を開けると、なんでか、俺の二の腕を撫でてて

「……なにやってんの。」
「…おはよう。」
「…おはよ。」

どうやら俺が、腕枕して寝てたから。
痛くなかった?って。
平気だって言っても、ごめんねって。
でもそのあとすぐに俺もAの耳を引っ掻いちゃって、慌てて謝った。

…なんか耳もちっさいな
てか、耳まで柔らかいな
癖になっちゃって、無意識にずっと撫でてた。
Aはくすぐったいのかごそごそ布団の中で動いてて。

「…ちょ、狭いんだからあんま動くなって。」
「えぇ…」
「えぇじゃない。」
「…ベッド大きくしたいけど、この部屋に入んない…」

そう呟いたA。
…ベッド、大きくしたいのか。

「…入んないかな。」
「入るかもだけど、ベッドだけになっちゃう。」
「……いいよ、べつに。」

思わず本音。
いいよ、べつにこのままで。
こっちのほうがくっついて寝られるし。

でもAはなにも答えてくれなくて
そのあとわざとらしく理由をつけて、起き上がった。
引き止めることもできず、キッチンに立つAをぼおっと見上げる。

…ああ、もっと幸せな気持ちで、この光景を見つめられたらいいのに。




そのあと、のんびりシャワーを浴びて、できあがった朝ごはんを食べてた。
Aはすでに食べ終えて、ローテーブルで化粧してる。

…よし、今しかない、マジで。
ここで言えなかったら終わりだ。

…とはいえ、昨日のあの気まずい空気、そして必死すぎてたぶんキモかった夜、さらにはさっきベッドの話で無視された、アレ。
…クッソ、既にメンタルズタボロなんだよ俺は。

一回だけ咳払いして、なんてこと無い顔で話しかけた。

「そういえば、」
「なに?」
「えっと、しあさってからさ、LA行くんだけど。」
「…また?」
「またって。笑 前回行ったのだいぶ前だよ。」
「そうだっけ。何日間?」
「4日。」
「ふうん…」
「でさ、お前も来るかなって。」

軽く、できるだけ軽くそう言うと
Aは化粧する手を止めて、こっちを見た。
やべえ、眉間シワ寄ってんじゃん。
絶対断られる…
思った矢先、予想通り無理無理って余裕のお断り。
粘ったけど、余計に怪訝そうな顔になるばかりで。

つい、嘘をついてしまった。
メンさんと一緒だから、って。
そのほうが来てくれるかなって思ったから。
…なんて、どこまで必死だよ、俺。

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mugi(プロフ) - 自分に重なることが多すぎて、感情移入どころではなかったです。素敵な作品いつも有難うございます。 (2019年11月18日 10時) (レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさんの作品大好きです! (2019年11月3日 18時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
_myprince8(プロフ) - きなこさんの作品全て好きです。完結まで結びますように!っ (2019年11月3日 10時) (レス) id: bca9b2866b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 私最近の玲於くんの大人っぷりに寂しいって感じてしまい玲於くん見るの少し離れてたんです。だからきなこさんの思ってること同じで嬉しくなりました。今はちょこちょこ玲於くんを応援してるつもりです。笑1日の終わりに読むきなこさんの作品いつも楽しみです! (2019年11月3日 1時) (レス) id: f500b029ae (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - きなこさんの作品の中で一番好きです。人間味があって執着する玲於ちゃんや空回りながらも同じ思いの主人公ちゃん、すれ違いがもどかしいけど読み応えがあって本当に好きです。完結まで頑張ってください! (2019年11月2日 9時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2019年10月10日 22時

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