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能天気な彼女 ページ2

.


「熱中症なっちゃうよ。」
「なんないから。」
「なるよ。」
「もういいって、」

Aの腕引っ張って、俺の上に倒れこんだ身体を、ぎゅうって抱きしめる。
キスしようと顔見たら、いやって逸らされた。

「……もー…」
「暑いもん。」
「…30分我慢して。」
「え、30分…?」
「いける?」
「…アイス食べたい。」
「はあ?」

よいしょって立ち上がって、冷蔵庫開けたAと
もー勘弁してよって
能天気な彼女に焦らしに焦らされる俺。
くっそー、アイス持ったままでいいから 早く戻ってこいよ。

「…え!ない!」
「……。」
「玲於くん食べたでしょ、レモンのやつ!」
「…レモン…?」
「カップの、レモンとバニラの…」
「…うわ、食ったわ。」
「もー!」
「えーごめん。」
「アイスいっこもないよ。ねーってばー。」

寝転んだままの俺に、そんなこと言って駄々こねてる。
うそだろ
買い行きたいの?

「我慢してよ、もう1時過ぎてるし。」
「…まだ1時。」
「……俺もう無理。」
「無理じゃない。30分我慢して。」
「…お前さあ…」
「だってわたしのアイス食べたの玲於くんだよ。」
「名前書いとけよ!」

言いながら起き上がる。
めんどくせえ、ほんと、子どもじゃん。どんだけ手かかんだよ。

「…秒で帰ってこよ。」
「やった!」
「あーもうちょっと…ほらTシャツ着て、」
「うん。」
「あんま騒がないでよ。外で。」
「わかったよ。」

マスクに伊達メガネ、それからキャップ。
財布ポケットに入れて、渋々外に出た。

「外も暑いねー。」
「クソあちい。」
「コンビニ近くて助かるね。」
「いっつもそんなドすっぴんで行ってんの?」
「うん。」
「ふ、マジか。」
「すっぴん、クマすごいでしょ わたし。」
「うん。あとちょっと…そばかすね。」
「わ、バレてた。」
「バレてるわ。もう何回見たことか。」

言うと、なんでか嬉しそうにニヤニヤしてる。
…変なやつ
…かわいいな

周りに誰もいないこと確認して、手繋いだ。
A、びっくりしてたけど、すぐにぎゅって握り返してきて。

「…なんか久しぶり…ふたりで歩いたの。」
「…そうだっけ?」
「そうだよ。」
「…忘れた。」
「…忘れないでよ。」


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汗→←夏の夜



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mugi(プロフ) - 自分に重なることが多すぎて、感情移入どころではなかったです。素敵な作品いつも有難うございます。 (2019年11月18日 10時) (レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさんの作品大好きです! (2019年11月3日 18時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
_myprince8(プロフ) - きなこさんの作品全て好きです。完結まで結びますように!っ (2019年11月3日 10時) (レス) id: bca9b2866b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 私最近の玲於くんの大人っぷりに寂しいって感じてしまい玲於くん見るの少し離れてたんです。だからきなこさんの思ってること同じで嬉しくなりました。今はちょこちょこ玲於くんを応援してるつもりです。笑1日の終わりに読むきなこさんの作品いつも楽しみです! (2019年11月3日 1時) (レス) id: f500b029ae (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - きなこさんの作品の中で一番好きです。人間味があって執着する玲於ちゃんや空回りながらも同じ思いの主人公ちゃん、すれ違いがもどかしいけど読み応えがあって本当に好きです。完結まで頑張ってください! (2019年11月2日 9時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2019年10月10日 22時

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