ただいま、初恋4【佐野玲於】

隣同士 ページ41

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A「先輩、明日の朝は これ温め直して、こっちはタッパーごとチンして、お皿に取り分けて 食べてね。」

玲於「ん、さんきゅー。」


それから30分後
ようやく朝の準備も終わって、あとは帰るだけ
…なんだけど
もうちょいゆっくりしてけば
って、もうちょいって、どれくらい？
ゆっくりって、なに？
疑問いっぱいだけど、それを聞く勇気はない

手持ち無沙汰で 洗濯でもしようかなって思ったけど
人の家であんまり出しゃばるのも良くない気がして、先輩が座ってるソファーに いそいそと近寄った


A「……あの、」

玲於「ん？」

A「……えーと…」

玲於「……映画でも見る？」

A「え、映画！？」

玲於「バカ声でかいわ、颯起きる。」

A「あ、そっか…」

玲於「…ほら、いっぱいあるから、好きなの選びなよ。」


言いながら手渡される、タブレット
ソファーの下、ラグに座りながら
ん？って思って見たら
映画とかドラマが見られる、有料のアプリが入ってた


A「これ、ママも契約してる！」

玲於「そーなの？」

A「うん。わー、先輩すごいな、大人。」

玲於「いやこんなの大学生みんな入ってるわ。笑」

A「え？そうなんだ。」

玲於「うん。ほら何がいいの。」

A「えー…あ、これ！」

玲於「あーそれこの前見たから却下。」

A「えぇー、じゃあこれ！」

玲於「…恋愛ものはつまんねえ。」

A「もお、全部ダメって言うじゃん。」

玲於「いやお前が唯一ダメなの選んでるだけ。」

A「唯一じゃないもん。2個ともダメって言った！」

玲於「はいはい、じゃあコレにしよ、ね。」

A「結局先輩が好きなのじゃん。」

玲於「でも面白そうでしょ。」

A「…めちゃくちゃ面白そう。」

玲於「ふは、ウケる。笑」


テレビ繋ぐ？って言われたけど
小さい画面で見た方が先輩と近くにいられるかなって思って
このままでいいって言った
ローテーブルにタブレット置いた先輩
ソファーから降りて、わたしのとなりに座ってくれて
思った通りの展開に、ドキドキが止まらない


玲於「…あ、このまま見たら颯起きちゃうか。…待って、」


そう呟いた先輩は
ごそごそ リュックの中に手突っ込んで
イヤホン取り出した
イヤホンジャックにそれ挿して、右耳だけ渡してくれる
…やばい、イヤホンふたりで使うなんて
少女漫画の世界だけだと思ってた

少し薄暗い部屋で
先輩と、隣同士
今日のことはきっと、一生忘れられない

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