ただいま、初恋4【佐野玲於】

すぐ帰る？ ページ40

．



それから、できあがったハンバーグ3人で食べて
ふたりとも、うまいうまいって言ってくれて
先輩、付け合わせのポテトサラダとスープまでおかわりしてくれた

わたし今まで、家族以外に食べてもらったことなかったから、すごく嬉しいな
おかわり！って言う先輩の顔、めちゃくちゃかわいかったな
なんて考えながら、食器洗い済ませて
明日の朝ごはんの準備

先輩は、いま颯くんのこと寝かしつけてるの
颯くん、ご飯食べおわったら、スイッチ切れたみたいに寝ちゃって
やばいやばいって先輩慌てて起こして歯磨きさせて
それでちょっと不機嫌になったのか
ひとりじゃねれないって言い始めちゃった

だから先輩が、となりに寝転んであげてる
俺寝たら起こしてって言われたけど、先輩も颯くんと一緒に歯磨きしてたし
わたしべつに、ひとりで帰れるし
そのままにしとこうって思ってた
でも


玲於「あーやば、一瞬寝てたわ。」


寝室の引き戸開けて
先輩、そう言いながら出てきた
キッチンにいるわたしに気付いて、なにしてんの？って


A「朝ごはんを、ちょっと。」

玲於「え、まじで助かる。」

A「大したものじゃないけど。」

玲於「そんなん全然いいわ。めっちゃ気利くじゃん。」


嬉しい、褒められた！


玲於「てか、お前まじで料理うまいね。ビビった。」

A「え？そうかな…普通くらいだと思う。」

玲於「いやいや、どこが？俺めっちゃおかわりしたもん、久々人の手作り食った。」

A「…あんなのでよければ、いつでも…」

玲於「…え？」

A「…あ、間違えた、誰でも、作れる！うん。あんなの誰でも作れる。」

玲於「いやできねーって。」


危ない危ない
いつでも作りに来るなんて、それは彼女しか言っちゃいけないよ

シンクの淵に手ついて
先輩、じぃーって 包丁を握るわたしの手元、見てくる
ちらって顔上げたら
ん？って、小さく眉毛上げた
その顔、きゅぅぅって 胸が痛くなる
心開いてくれてる感じ、伝わってきて 苦しいくらい嬉しい

…ていうか、颯くん寝ちゃったから
突然ふたりきりって意識するよ
早く終わらせて、早く帰らなきゃ
もう20時だし…いや、まだ20時？


玲於「…それ作りおわったら、すぐ帰る？」


そのとき聞こえた、まさかの言葉
思わず手が止まる


A「…え？」

玲於「…帰り、ちゃんと送るから。もうちょいゆっくりしてけば？」


言いながらソファーに座った先輩
ドキドキしながら、その姿を目で追ってた



．

隣同士→←余計なこと

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す