【佐野万次郎】幻の副総長

何も知らない私たちは ページ7

Aside







『いやー、食べた食べた』

「結局野菜食ってないのな」

『だってピーマンとか苦いもん。苦いの嫌いだもん』

「ガキみてぇな事言ってんじゃねぇよ」

『私はまだガキ』







そう言いながらお口直しのために鞄からチュッパチャプスを取り出して食べる。その時、手をスっと差し出してきたマイキーにも一本あげた。



チラッと海の方を見ると、バジリンとパーちん、ケンちゃんが海で遊んでいた。







『私水着ないのに』

「うちもない」

『え？エマ持ってきてると思ってた』

「どこでバーベキューやるか聞いてなかったの」

『何で場所と内容言わないんだろアイツら』







私がマイキーに連れ出された時も、「海に行こう」の一言で、「バーベキューやる」なんて聞いてなかった。それさえちゃんと聞いてれば、他にも持ってこれたものがあったのに。







『今海で遊んでる奴ムカつくから置いて帰ろうぜ』

「「賛成」」

『エマはマイキーの後ろ乗るでしょ？』

「うちAの後ろ乗りたい」

『私今乗ってサツに捕まったら二度とバイク乗れない』

「じゃあエマは俺の後ろ乗りな」







こうして、私がミッチー、エマがマイキーのバイクに乗ることとなり、素早く移動してバイクの音を盛大に鳴らすと、海にいた三人はそれに気づき、急いで追いかけてきた。







『ミッチーもっと飛ばして！』

「はいよー」







彼らといると、本当に楽しいと心の底から思える。これからも、ずっとこんな時間が続けばいい。大人になんてならなくていい。ずっとこのまま騒いでいたい。







でも、私のこの幸せな時間も、あと少しで終わりを迎えることになる。



＿＿＿＿＿＿＿＿今の私は、まだそれを知らない。

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