主人公はかっこよく登場したい ページ26
Aside
私はバブに乗りながら片手でバジリンに電話を繋げる。その電話はワンコールですぐ出てくれた。電話の向こうからは結構な数のエンジン音が聞こえるため、きっと彼らも会場へと向かっているのだろう。本題に入る前より先に、私は約束を破ってしまったことを謝る。
『バジリン、ごめん寝てた』
「知ってるっつーの。お前こそ久しぶりにバブの音響かせてどうした?喧嘩かぁ?」
『喧嘩だわ馬鹿たれ』
バジリンも電話越しに私のエンジン音が聞こえてきたのだろう。察したように会話をするバジりんに関心しながらも会話を続ける。
『今どこ』
「もうそろ着くぜ。先におっぱじめとくからなぁ」
『私もなるべく間に合うように近道してくね。じゃあまた後で』
「おう、気をつけろよ」
そう言って電話を着ると、私は直ぐに近道をしようと道を曲がる。道路ではない道を抜けて、この雨の中を滑走と走っていく。喧嘩の始まりに遅れたっていい。ケンちゃんさえ生きてくれれば、それで良い。
お願いだから、間に合って。
そんな願いを込めて、私はエンジン音を響かせた。
・
やべぇ!もう何人いるか分かんねぇ!
マイキーの元に集まった東京卍會と愛美愛主の人数を見て、武道は困惑していた。
「祭りの日に大乱闘…血が踊るじゃねぇか。なぁ?マイキー」
「そうだな、ケンチン」
両チーム、もうやる気は満々だった。誰かが大声を出したら始まりそうな、そんな雰囲気を漂わせていた。いよいよ抗争が始まる。そう武道が覚悟した、その時だった。先程マイキーが乗ってきたエンジンと同じ音がこの場に響き渡る。マイキーを含め、創立メンバーはその音を聞いて静かに笑っていた。
それは、あまりにも気分屋で、しかし仲間を大切にする彼女を象徴した音だったから。
『はいそこどいてー』
そしてバイクを降りると、相変わらずチュッパチャプスを咥えて三つ編みおさげをした鬼龍Aが、何食わぬ顔をしてそこに立っていた。
1197人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ