私が集会に出ない理由 ページ17
Aside
「…ねぇ、ウチもずっと思ってたんだけどさ」
『んー?』
「何で集会出ないの?」
マイキーの家を出て数分。私が朝一番のチュッパチャプスの袋を開けて口に入れた時のこと。エマは先程のマイキーの質問に便乗するかのように聞いてきた。
『…“東京卍会総長”の佐野万次郎に会いたくないの』
「…」
『私は確かに、不良の時代を創るマイキーについて行きたいと思ってる。けど、チームが大きくなるに連れて、その場にいるのが嫌になった』
これは私の気持ちの問題なのだ。
チームが大きくなるに連れ、マイキーはどんどん先に進んで行く。“総長”のマイキーに、“副総長”の私はどんどん置いていかれている。
『私は、ただずっとマイキーの隣にいたいだけ』
前にも後にでもなく、ただ彼の隣にいたいだけ。
集会のあの空気が嫌い。当時の私は、マイキーの隣に居たいがために副総長の肩書きを貰った。…けど、違った。副総長は総長の隣には立てない。いつだって総長が一番上で、副総長はあくまでその下。それに気づいてから、私は集会には出なくなっていた。
「…Aって、本当にマイキーのこと好きだよね」
『エマだってケンちゃんのこと大好きじゃん』
「当たり前でしょ」
『はぁ…もういっそ、東卍辞めちゃおっかな〜』
「あはは、冗談でも許すわけないじゃん」
と、エマとは違う声が後ろから聞こえてきた。私はこの声の主を知っている。恐る恐る後ろを振り返ると、そこにはニッコリ笑顔のマイキーがいた。
『追いつくの早くない?』
「自転車乗ってきたからね。ケンチンが」
『人動かすな自分で漕げ』
「…で?東卍抜けるって?」
『イッテナイデスヨソンナコト』
すると、マイキーの腕が少し上がる。一瞬殴られると思い身構えるが、フワッと頭にその手が乗った。
「俺にはAが必要だ」
『…』
「それに、俺がお前を置いてくわけねぇだろ」
さも当然かのようにそう言うマイキー。
私は嬉しさとは反面、とある疑問が頭に浮かんだ。
彼はいつからこの話を聞いていたのだろう、と。
「お前はいつも考えすぎるからな。自分のタイミングでまた集会来いよ」
『…バカ佐野万次郎』
でも、心のどこかで何か呪縛のようなものが解けた気がした。
『ま、結局理由の八割は面倒くさいだから行かないけどね』
「おい」
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ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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