【佐野万次郎】幻の副総長

タケミッチに会いに行こう ページ12

Aside







『…タケミッチに会いに行く？』

「そう。お前も絶対気にいると思うよ」

『何でそんな聞いたことも見たこともない奴に私から会いに行かなきゃいけないの』

「お前変なとこでプライド高いよな」

『黙らっしゃい』







それはヒナタと友達になった翌日の事だった。いつも通りケンちゃんに起こされマイキーの家に行くと、マイキーは突然初めて聞いた名前の奴に会いに行くと言い出した。私は勿論断るわけだが、彼も引こうとはしない。







『私は行かないからね〜勝手に行きな〜』

「は？だからAも行くんだよ」

『…』







私は適当にあしらって「ごちそうさまでした」と朝食を食べ終わり立ち上がろうとすると、あからさまに不機嫌な声をしたマイキーがそれを止める。ちなみにケンちゃんはというと、“諦めろ”と言った顔をしてこちらを見ていた。

そしてとうとう断れなかった私は、マイキーの誘いを受けることにする。







『…分かったから機嫌直して』

「よしっ！じゃあ行こっか」

『こいつ本当に一回事故らねぇかな』

「何か言った？」

『別に〜』







生憎、朝は私も機嫌が悪くなる時が多いのだ。だからこうした軽い口喧嘩も日常茶飯事。けど、そんな時はいつもケンちゃんが何とかしてくれるからありがたい。



外に出ると、マイキーは庭から愛車である“バブ”を出てきた。私は当たり前の如くマイキーの後ろに乗る。これは喧嘩をしてても何をしてても変わらない。バブはブォーンと良い音を鳴らしてから、やっと動き出したのだった。







・








暫くバイクを走らせ、着いたのは溝中だった。確か、昨日ヒナタも溝中生徒って言ってた気がするな。もしかして会えるかな、なんて思ったが、きっと授業中だから辞めておこう。







『私校門で待ってるから、早く連れてきて』

「はいはい。ちゃんと待っててね」

『分かってるって。行ってらっしゃい』







私は校門前に止まったバブに乗りながら、二人を見送った。

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