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◎ 永瀬
メイが好き。その気持ちに気がついたんは関西から東京に来て彼女と同じグループで活動することになった頃のことやった。
『 廉くん、ここはこうだよ 』
「 あ、ほんまや。ありがとう 」
『 ふふ、どういたしまして 』
優しくてふわふわしとる一個下の可愛い女の子。
人間界に舞い降りた天使とかいう呼ばれ方しとったけどほんまにそのまんま。そりゃあデビュー組の先輩らが甘々になる気持ちも分かるわ。
東京にいるジャニーズJr.の中にもメイの事を好きな奴は山ほど見てきた。そして俺も彼女に恋をしたうちの一人。
ずっと近くにいたからこそ恥ずかしくて伝えられへんかった俺の気持ち。樹くんと付き合ったと聞いて、正直おめでとうよりも不安の方が強かった。
だって樹くんチャラいし怖いし、女絡み凄いって噂やし…
なんでもっと早くに好きって言わんかったんやろ。
もし俺が先に伝えとったら、
自販機の影にしゃがみ込んでグルグル考えてたらどこからか足音が近づいてきた。
それは俺の目の前で止まって、思わず顔を上げた。
「 あ、樹くん、 」
田中「 何してんのお前 」
眉間に皺を寄せながら俺を見下ろしとったのは
俺が今一番会うのが気まずい人やった
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作者名:ひな | 作成日時:2024年3月28日 12時