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mutt. 01 ページ3

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「おはよー神楽!」
神楽「おはようアル!」


それはある朝のこと。
何の変哲もない、普通の一日の始まりだった。


いつも一緒に登校している彼女と公園の傍のベンチ前で合流し、いつも通る通学路を歩く。

まだ春先、冬の寒さがほんの少しだけ残る、4月の中旬だった。散りかけた桜の花が飾る街で、今日も私たちの一日が始まるのだ。







「今日って専門委員会あるんだっけ?」
神楽「そうアルよ。私整備委員の仕事遅くなるかもしれないから先帰ってていいアル」
「や、私もどうせ図書委員のカウンター当番あるし待ってるよ」



なんて、なんてことの無い言葉を交わし合い、レンガ造りのお洒落なパン屋さんの横、街角を曲がる。




____と。

ここまでは、いつも通り普通の日常だった。





「うわぁっ、!?」
「きゃっ!?」



二人の声が重なる。
お決まりのそれ。街角でぶつかるとかいうラブハプニング。後ろに尻餅をつき、掌についた砂粒を落としながらぶつかった相手の方を見上げた。





「……岸川さん?ごめんね…!大丈夫?」

慌てて立ち上がり、彼女に手を貸す。


ラノン「あっ、全然大丈夫だよ!こっちこそごめんね!制服汚れなかった?」
「うん、汚れてないよ」



相手は、運命の相手、なんてふわふわしたもんじゃなくて。
いや、彼女とぶつかってしまったことに関しては別に大したことはなく、普通に謝れば済むことであるし、むしろこんな朝っぱらからこんな可愛い女の子と関われて光栄である。

……問題はそっちじゃない。




「………げっ、」


眉を顰めて見つめた先、彼女の後ろにいる、まるで姫を護る騎士のような彼ら。
騎士、なんてかっこよく言ってみたものの、その実際はただの番犬にすぎない。
ご主人様に懸命に尻尾振る犬っころだ。




神威「げって何?殺しちゃうぞ」
沖田「このクソアマ、ラノンが怪我してたらどうすんでィ!?」


真っ先に突っかかってきた二人に続き、なんだっけ、えっと、高杉くん?だっけ。高杉くんが私を睨めつける。凄く怖い。殺気がすごい。


銀時「ラノン!怪我ねぇか!?全く、ふざけんなよクソ女、」
土方「ラノン!大丈夫か!?」




凄い罵られっぷりに朝っぱらから可愛い女の子と出会えた幸せも萎えてしまう。
ぼーっと彼らのことを見つめていれば、えーと誰だっけ、あの赤い三つ編みの男の子がにっこりと笑ってこっちに歩いてきた。




「…っ、!?」


振りかざされた、拳。




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作者名:ティアー | 作成日時:2018年9月12日 19時

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